今、“ジェネリック家電”が注目を集めている

特許が切れた医薬品(先発医療品)と同じ成分で別メーカーが作る薬を、ジェネリック医薬品(後発医薬品)という。効き目は同じなのに価格が安くなるため、最近は医師の処方にジェネリックを希望する人が増えている。これと似たような流れが、家電業界でも起こっているのだ。
家電製品の世界でも、あまり名を聞かないメーカーが製造する激安商品なのに、有名メーカーの人気商品に負けない性能を持つものが数多くある。そんな“ジェネリック家電”が増えた背景について、ある家電量販店の仕入れ担当部長が小声でこう明かす。
「時代の流れには逆らえないってことですかね。もともと、ジェネリック家電なんて、大手家電量販店では扱いませんでした。昔から扱っていたのは、ビッ●カメラさんくらいでしょう。本来、メーカーと量販店は持ちつ持たれつ。メーカー側がドル箱である量販店を大事にするように、量販店もメーカーがいやがるノーブランド品を扱わないというのが暗黙の了解でしたから」
しかし、家電不況が業界の“常識”を変えた。
「ここ数年、メーカーの力がガタガタに落ちて、ヒット商品もないのに買わされる……というか泣きつかれることが増えましたからね(苦笑)。完全に力関係が崩れちゃったんです。お客さんも名より実を取るようになりました。ノーブランドでも良い製品なら買っていく。うちの店も、ジワジワと中韓の家電メーカーの製品売り場が広がっています。私としては、それより国内メーカーのジェネリック家電を扱うほうが、まだ気分が楽ですね」
大手ホームセンターの西日本統括部長も同意する。
「時代はジェネリック家電でしょ(笑)。昨年ウチでも扇風機が飛ぶように売れたけど、その9割がジェネリック製品です。昔はホームセンターで買うノーブランド家電なんて使い捨てだとバカにされたものでした。でも今はまったく違う。売れるから、こちらも真剣に扱うようになる。ジェネリックメーカーも真剣に勉強して、製品の質は上がっています。夏の暑いなか、売り場で他社製品を熱心にチェックしていた営業さん。あの額に汗する姿勢が大手国産家電メーカーにあれば、今の衰退はなかったんでしょうけどねぇ……」
その、大手国産家電メーカーの商品の状況は……?
「大手は昔の『仕入れさせてやる』という態度が『お願いします』に豹変したけど、お客さんにもそんな感じは伝わるんじゃないですか。ウチはこれからも安くて良い品物であれば、ドンドン(ジェネリックを)仕入れますよ(笑)」
テレビやHDレコーダーなどのAV機器やタブレットなどのITデバイスのほか、日常生活に欠かせない白物家電でも評判が広まりつつあるジェネリック家電。

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