“負担金”不満も過去最高
砂糖消費(主に白糖)はここ3年度でも約9万2千tの減少(年間消費183万t)となり、総需要の5%に相当する需要が消失した。これは中規模製糖工場1つ分とも指摘されている。平成30年間でも約3割の砂糖消費が減り、業界は統合再編を繰り返してきた。一方で、砂糖には国産糖(北海道のビート、沖縄・鹿児島のさとうきび)の保護財源(調整金)が毎年約500億円課せられて売価に反映。これが他の甘味原料に価格競争で負ける原因と指摘している。消費量が減るほどに負担率は高まるため、業界不満も過去最高。嵐の再編期に再び向かうか踏みとどまるか。岐路の2歩手前ぐらいに差し掛かっている。
基礎調味料はだいたい減少をたどっているが、特に塩、砂糖は健康志向やネガティブイメージ、誤解も絡んで減少幅は大きい。また、食品市場の隅々にまで浸透しているため人口減少の影響を直接的に受けてしまう。塩はなるべく摂らない方向に向かうが、砂糖は甘みを出すためには使わざるを得ない。そこで代替甘味料が平成時代に台頭してきた。平成30年間で砂糖消費が26~28%減ったのに対し、異性化糖は15%増、加糖調製品(海外で砂糖を混ぜた二次原料)は5倍増となった。
この推移を受けて、特に加糖調製品に対しては砂糖と同じく国産糖の保護財源である「調整金」を課すべきだと砂糖業界は政府へ訴えてきた。それが長い時を経て、一昨年のTPP11の交渉過程で実現。しかし、限定的で砂糖の価格競争力を取り戻すほどの効果はなかった。また、いわゆる高甘味度甘味料の調整金負担はない。異性化糖は一部負担しているが、砂糖に比較すると軽め。
砂糖業界としては「国産糖の保護」は“国策”なのに、なぜ砂糖だけが年間500億円の負担金を背負わなければならないのか。日本の食料自給率37%(カロリーベース)のうち、約7%は砂糖類。それを支えているのが「調整金」だ。しかし、国内の砂糖消費量はどんどん減っていくため業界の負担率は高まる。どう見ても負のスパイラルにカラダ半分ぐらい巻き込まれているが、改善される気配も見えない。今年もさらに消費量が減るようならば制度破綻を含めた岐路にますます近づくことになる。
一方で、今年は東京五輪も開催され、業界の啓発活動「シュガーチャージ」(砂糖でエネルギー補給)で少しでも砂糖に対する誤解を払しょくして消費減を食い止めたいと期待を寄せている。一喜一憂を繰り返しそうなオリンピックイヤーがスタートした。