今度はソフトバンクと新会社設立 エイベックスが突き進むIT戦略

 CD不況が長引くなか、エイベックスグループホールディングスが売り上げを伸ばしている。
 ’13年3月期第1四半期(’12年4~6月)は売り上げ306億円で前年同期比67%増。経常利益は18億円、最終利益が8億6000万円だった。
 この好業績を支えているのが、スマホ向けに音楽・映像を配信するBee TVである。
 ’09年5月の開局当時の会員数はわずか30万人だったが、’12年5月末はその10倍、300万人に達している。
 設立時は、会員数350万人、売り上げ150億円を目標にしていた。
 エイベックスの発表によると、これをほぼ達成したことになる。
 当初は低料金のため成功するかどうか心配された。スマホ向けが1カ月315円、昨年11月から始まったドコモが運営するタブレット端末なども含むVIDEOストア向けが525円という廉価ぶり。
 立ち上げた当時、松浦勝人社長は、CDの売り上げは今後落ち続けるとみていた。だから進出せざるをえない面もあったのだ。
 「これから伸びる携帯電話を利用しての商売なので、会員は増えることはあっても減ることはないという読みで踏み切った。CDはアーチストのライブ用の宣伝材料にとどめ、売り上げはあまり期待しないようにした。それが、見事に当たったわけです」(レコード業界関係者)
 こうした成功を背景に、エイベックスはNTTドコモとの連携関係を強めていくとみられていた。ところが、NTTドコモのライバル・ソフトバンクと同じような新会社を今年9月に設立することを発表、業界に衝撃を広げた。
 商号、代表はこれから決め、11月から本格的な事業を開始するという。
 「ソフトバンクは、iphoneのほか、人気タブレット端末ipadを扱っている。ipad保有者にはまだ未加入者が多いため、その層を狙って手を組んだといえる。ユーザー側に得な料金体系を組めば、加入させやすいとみたわけです。問題はNTTドコモとの関係。さぞくやしい思いをしているだろうが、ドコモは単体でコンテンツを制作する能力が弱いため、しばらくは現状維持を続けることになるでしょう」(IT関係者)

タイトルとURLをコピーしました