現代は高度情報化社会。“情報”に触れるのは一層手軽になった一方で、「情報強者=情強」と「情報弱者=情弱」の差もまた拡大中だ。そこで今回、情弱の共通点を徹底検証した。あなたはいくつ該当するか?
◆「使えない中年」認定の情弱エリートは、“お荷物”扱い
ビジネスにおける情弱は、時間やエネルギーを浪費し、組織の活力をも削ぎ落していく。雇用や人材に精通する人事コンサルタントの城繁幸氏は、情弱を次のように分析する。
「私が考える情弱の条件には2つあります。一つは“取捨選択ができず、情報に流されてしまう人”。フェイクニュースに“いいね!”してしまう人や『成功者の習慣をマネして取り入れている』人などがこれに当てはまります。情報の根拠や効果を精査できず、無駄を積み重ねている可能性が高い。もう一つは前向きな意思がなく、ずっと同じことを続けている人です」
仕事や職場においては、特に後者が致命的なのだとか。
「アンケート結果1位の『ファイル転送サービスを使えない』(※記事最後を参照)からも見えてきますが、新しい情報への関心が薄い人が該当します。『必要な名刺をすぐに出せない』も同様で、名刺管理アプリなど業務を効率化するツールやサービスは腐るほどあるのに試そうともしない。これでは情強との差はますます開く一方。当然生産性は向上しないので、会社から“お荷物”扱いされても仕方ないですよ」
実際、巷でも「後輩から勧められてアプリをインストールしたが、一度も起動したことがない」(47歳・製造)という声が……。
このように、目的や効率性を見直さず、現状維持を優先する保守的な情弱40代は多いという。
「年功序列制度が色濃く残る日本企業では、30代後半くらいから将来のキャリアが見え始めます。40代を迎える頃には、8割くらいの人は出世が頭打ち。『頑張っても無駄』と考え、リスクを取らなくなる。むしろ、『やらない理由』を探して失敗しないことに重点を置くようになります。ヘタに積み重ねてきたものがあるだけに、経験則で乗り切れてしまうんです」
場当たり的な仕事は短期的には合理的。しかし、城氏いわく、中長期的な視野の欠如を暗に示しているのと同じなのだとか。
「短期的な視野しかない情弱は、例えば『毎月あと1万円収入を増やしたい』と考えた時、残業時間を増やそうとします。確かに短期的に収入は増えるものの、その分人事評価が下がってボーナスが減るという視点は欠けている。さらにそこに時間を費やすことで、新しいスキルを獲得する時間はおろか、自分の趣味の時間さえも失われます。こういう人はプライベートで漫画喫茶に行った時にすら、過去に読んだことのある漫画ばかり読むんですよね(笑)」
心当たりがある人は要注意だ。
<情弱エリートの回答>
(29~49歳の会社員100人を対象にアンケートを実施)
・「ギガファイル便」などのファイル転送サービスを使えない 73人
・パソコンやスマホが一日1回程度フリーズする 71人
・カバンが常に重い 68人
・社会保険料の計算をしたことがない 67人
・初対面の相手の時計をチェックする 60人
・ビジネス書で読んだ成功者の習慣(朝活など)をマネして取り入れている 59人
・必要な名刺をすぐに出せない 56人
・職場の飲み会には一切参加しない 52人
・書類やメールを当日中に閲読しない 52人
・スマホのロック画面にパスワードなどのセキュリティを設定していない 49人
【城 繁幸氏】
人事コンサルタント。Joe’s Labo代表。労働・雇用現場の改善について情報を発信している。著書に『「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話』(夜間飛行)ほか多数
― [情弱な人]の意外な共通点 ―