仙台「まん延防止」初日 広がるコロナ疲れ、「協力するしか」

新型コロナウイルスの感染が再び広がる中、「まん延防止等重点措置」の適用が5日、仙台市で始まった。飲食店での感染防止策の強化と違反した店舗への行政罰(過料)が柱で、期間は大型連休を含む5月5日までの1カ月間。「コロナ疲れ」も広がり、実効性のある対策をとれるのかが問われる。【藤田花、面川美栄】

 JR仙台駅周辺では5日朝、大勢の通勤客が行き交う普段通りの光景がみられた。

 通勤途中だった塩釜市の会社員、熊谷ありすさん(18)は「感染防止対策をしている人はたくさんいる一方で、気にしない人は気にしない。感染拡大は収まらないのでは」と話し、職場へ向かった。多賀城市の会社員、伊藤稜さん(22)も「すでに対策は徹底されている。店に過料を科しても、本当に効果が出るのか」と重点措置の実効性を疑問視した。

 飲食店などを対象とした時短要請は県全域に拡大され、仙台市内にあるすべての飲食店に午後8時以降の営業自粛を要請。客側も飛沫(ひまつ)感染を防ぐための「マスク会食」などが求められ、大崎市の男性会社員(69)は「マスクをしないで飲食する一部の人から感染が広がるリスクは低くなるのではないか」と効果に期待した。

閉店時間を告知

 正午過ぎ、仙台市青葉区一番町の商店街では、サラリーマンが昼食を取る店を探していた。

 壱弐参(いろは)横丁の居酒屋「ゆきむら」では、4人がけのテーブルに仕切りを設置。店長の木村幸宏さん(55)は「客が店の前を通る1秒が勝負」と話し、ガラス越しに店内の様子が見えるように隙間(すきま)を開けて閉店時間の変更などを伝える張り紙をしていた。

 ランチタイムには客が来るが、夜は「全くダメ」と木村さん。さらに1カ月間延長された時短については「協力する以外にない」と要請に応じるが、歓迎会の時期に重なるのは大きな痛手で「2カ月前にやった方が良かった」とこぼした。

県が見回り実施

 県は5日夕、飲食店への見回りを報道陣に公開。青葉区のホテルメトロポリタン仙台にある日本料理店「はや瀬」を県と市の職員5人が訪れ、アクリル板が設置されているかや、換気が徹底されているかなどを確認した。同ホテルの林健一・総支配人は「一刻も早く収束するように要請を守っていきたい」と話した。

 6日以降は計80人体制で見回りを実施。県環境生活総務課の佐藤隆史・総括課長補佐は「民間企業の力も借りながら、できるだけ早期に見回りを完了させたい」と語った。

「収束に全力」知事

 村井嘉浩知事は5日の定例会見で、「まん延防止等重点措置」が始まったことを受けて、「全国で初めての事例だ。仙台市では厳しい措置となるが、(政府の)緊急事態宣言になれば県内全域に影響が及ぶ。一日も早い収束に向けて全力をあげたい」と語った。

 仙台市内の飲食店で、営業時間短縮や感染予防策の実施状況などを確認する見回りも実施するとしたが、「初めての試みで十分な体制が整っていない。『走りながらやる』という大変な状況だ」と述べた。新型コロナ対応で職員が不足しており、今後は民間に委託して実態を調べる。

 プロ野球・楽天の本拠地「楽天生命パーク宮城」などの運動施設にも午後8時までの時短を要請することについては、「試合状況によっては延びる可能性は十分にあると思う。感染予防に留意し、無理のない範囲で協力をお願いしたい」と語った。【神内亜実】

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