仙台「避難の丘」3カ所、新年度かさ上げ工事 市、新津波浸水想定に対応

県が昨年5月に公表した最大級の津波浸水想定を受け、仙台市は2023年度、若林区荒浜などの「避難の丘」3カ所のかさ上げ工事に入る。1日に発表した一般会計当初予算案に計3億5445万円を計上した。高さ不足を理由に緊急避難場所から外したが、完成後の早期再指定を目指す。

 かさ上げするのは、震災遺構「荒浜小」の南北にある2カ所と、岡田地区(宮城野区)の1カ所。いずれも高さ約10メートルで、地盤沈下が起きても緊急避難に十分な高さを保つため1メートル程度高くする計画。

 23年度中の完成を目指す。3カ所で計6500人と想定した避難者の受け入れ可能人数はそのまま維持する。財源は、費用の2分の1~3分の2に国費の充当を想定する。

 その他、新想定で拡大した浸水エリアへの防災行政無線15台の整備に1億8860万円。荒浜小と高砂中(宮城野区)の津波への耐性などを調査する構造計算費として1044万円を盛り込んだ。

 新たに浸水エリアに入った指定避難所8カ所には、108万円をかけて避難誘導標識を整備する。大規模修繕を行う高砂市民センター(宮城野区)には、建物屋上の転落防止柵を設置する方向で実施設計に入る。

 市防災・減災部の田脇正一部長は「市有施設を避難ビルに追加指定できるよう調整をしている。ソフトとハードの組み合わせで市民の安全を確保できる環境を整えたい」と話す。

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