みやぎ亘理農協(宮城県亘理町)の地域ブランド「仙台いちご」の今季初出荷が6日、同町の亘理山元いちご選果場であった。東北一の産地だった同町と南隣の山元町は東日本大震災の栽培施設や選果場が津波被害に遭った。復興事業の再整備が今秋でほぼ完了し、農家や関係者約600人が再出発を祝った。
施設を自力再建するなどして営農を再開した9戸が「とちおとめ」を1000パック(約270キロ)を納入した。真っ赤なイチゴが詰まった箱を乗せたベルトコンベヤーが始動。機械で荷造りし、仙台と北海道の市場に運ばれた。
式典で岩佐国男組合長は「(震災で)志半ばで逝った仲間のためにも、一丸となって努力を重ね前へ進む」と語った。生産者を代表して農協亘理いちご部会の斎藤隆一部会長が「イチゴ作りの技術と熱意は津波に流されていない」と決意を述べた。仙台いちごのイメージキャラクター「わたリーナ」も初披露された。
震災では両町の農家約380人の95%が被災。国の復興交付金を活用したいちご団地の整備などで、今季は震災前の6割程度の211人が55ヘクタールで作付けを行う。山元町のいちご団地に参加する岩佐信一さん(60)は「うれしいこと。イチゴとともに感謝の心を届けたい」と話した。