仙台そば巻き返し 対山形、若手店主ら結束

「そばと言えば山形」。そんな常識を少しでも突き崩そうと、仙台市内の若手そば店主らが、仙台そばの魅力を発信しようと奮闘している。まずは市内の14店 舗が自慢の「カレーそば」でアピール。牛タンやマーボー焼きそばのように、仙台発祥と認知される共通メニューを考案し、定着を図りたい考えだ。(報道部・ 山口達也)

青葉区大町2丁目の「やぶ屋本店」。創業1848年の仙台で最も老舗のそば店だ。店の前に1本ののぼりが立つ。「せんだいあったかスタンプラリー」。
ラリーは2月いっぱい実施し、やぶ屋本店など市内のそば店14店舗がそれぞれ自慢のカレーそばを提供。客は3店でカレーそばを注文し、スタンプを集めると、抽選で旅行ギフト券や焼き魚セットが贈られる。
考案したのは同店の竹丸武志さん(43)ら市内の30~40代の店主ら5人。昨秋、竹丸さんを中心に「仙台そばうどん普及委員会」をつくり、企画を練った。
きっかけは、常連客との会話だった。やぶ屋本店はオフィス街にあり、客層はサラリーマンが多い。営業は平日中心で、常連客から「週末、山形でそばを味わってきた」という話ばかり聞かされた。
「山形そばの魅力は分かるが、それにしても押されっ放し。仙台にも板そばや肉そばといった山形風を売りにした店が増えている。何とかしなければと考えていた」。竹丸さんは言う。
「山形と同じ土俵で戦っても勝てない」と、PRする1品にカレーを使うことを決めた。竹丸さんは「カレーは店ごとに違う個性が出せる。冬の寒い時期に味わうのにも適している」と説明する。
ラリーに参加した「清水屋」(泉区)の店主大場信哉さん(42)は「仙台では同業者同士が連携してPRすることはなかった。協力し合うことで勉強になるし、互いのPRによって客足だけでなく、カレーそばを注文する人も増えた」と手応えを感じている。
今後も同様のイベントを通して、独自メニューを提供していく予定。そば打ち教室を定期的に開催することも検討している。
竹丸さんは「マーボー焼きそばのように各店共通のメニューを考案していきたい。山形の壁は高いが、仙台独自のそばが出せれば、業界も活性化するはず」と意気込む。

[仙台のそば事情] 仙台市内のそば、うどん、ラーメン店が加盟する飲食業組合は六つあり、そば中心の店は計約70店。後継者不足などもあり、年々減少傾向にある。一方、山形市内のそば中心の店は、組合加盟で約80店。

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