仙台国際ハーフマラソン2023(仙台市、宮城陸上競技協会、東北放送、河北新報社など主催)は4日、仙台市中心部で行われ、7414人のランナーが夏を思わせる暑さの中、緑豊かな杜の都を駆け抜けた。
宮城野区の弘進ゴムアスリートパーク仙台の南側道路をスタートし、同競技場にゴールする日本陸連公認ハーフマラソンコース(21.0975キロ)で実施された。エリート・登録の部男子はジョセフ・カランジャ(愛知製鋼)が1時間1分49秒で初制覇した。日本人最高の4位には古賀淳紫(安川電機)が1時間2分42秒で入った。
エリート・登録の部女子は一山麻緒(資生堂)が1時間11分38秒で初めての栄冠に輝いた。車いすの部男子は樋口政幸(プーマジャパン)が48分20秒で5年ぶり7度目の優勝を飾った。
新型コロナウイルス流行の沈静化に伴い、今年は沿道での応援やイベントの制限がなくなった。市民の声援や音楽演奏などが大会を盛り上げた。
沿道ににぎわい復活 声援や演奏、チアリーダーも
4日に開催された仙台国際ハーフマラソン(仙台市、河北新報社など主催)は、新型コロナウイルスの影響で昨年は実施された応援自粛の規制がなくなり、沿道ににぎわいが戻った。ランナーは音楽や声援が響く杜の都を疾走した。
新型コロナで2020、21年は大会そのものが中止となり、沿道から送られる声援は4年ぶり。仙台市青葉区のダンス教師鎌田真喜子さん(66)は「コロナ前は毎回応援に来ていた。トップランナーや友人が走る姿を見るのが楽しみ」と久しぶりの応援を楽しんだ。
定禅寺通(青葉区)には「とっておきの音楽祭」と連携した応援ステージが設けられた。音楽祭の参加者がケヤキ並木を駆け抜けるランナーを歌で応援。曲の合間の「頑張って」の励ましに、ランナーが手を振って応える場面もあった。
電子鍵盤打楽器「マレットカット」奏者の羽賀智美さん(35)は「情熱大陸」など5曲を演奏。「自分も普段走るのでランナーの気持ちが分かる。盛り上がれる曲を演奏した。かなり楽しめた」と笑顔を見せた。
スタート地点の弘進ゴムアスリートパーク仙台(宮城野区)付近では、プロ野球東北楽天など地元プロスポーツのチアリーダーたちがエールを送った。
昨年に続いてレースに出場した塩釜市の会社員末永善久さん(50)は暑さでペースが上がらず、途中で目標を完走に切り替えた。定禅寺通での歌や演奏が後押しになったといい「体力的に駄目になりそうだったけど、応援のおかげで走り切れた」と充実した表情を浮かべた。
ランチューバー、魅力を生配信 諏訪達也さん
仙台国際ハーフマラソンでは、市民ランナーの諏訪達也さん(51)=さいたま市=がカメラを身に着けてレースの様子を伝えるランニング系ユーチューバー(ランチューバー)として初夏の市街地を駆け抜けた。参加したランナーの生の声を拾い、仙台ハーフの魅力を全世界に生配信した。
「風が気持ち良かった」「最高だった」「仙台ありがとう」。スタートから約2時間後の正午ごろ、諏訪さんはゴールの弘進ゴムアスリートパーク仙台に次々到着するランナーから走破した感想を聞き取った。
大会のライブ配信を手がけた富士通Japan(東京)の社員で、ランナー歴は25年以上。これまでフルマラソンに70回以上出場した経験があり、ランチューバーを初めて買って出た。
レース中は約50人に話を聞いた。「走っている最中に人に話しかける経験は新鮮だった」と笑うが、ビルに囲まれた都市の雰囲気や緑豊かな街並み、仙台城跡といった歴史的な風景などをコースの魅力に挙げる声が多かったという。
映像は後日、東北放送のユーチューブチャンネルで配信予定。諏訪さんは「映像を通じてレースの雰囲気をぜひ感じ取ってほしい」と話した。
Qちゃん疾走、ランナーを鼓舞 「みんなでゴールするぞ」
仙台国際ハーフマラソン大会には、シドニー五輪女子マラソン金メダリストで大会スペシャルアンバサダーの高橋尚子さん(51)も出場した。一般出場者と伴走し、昨年は自粛したゴール後のハイタッチを復活させて盛り上げた。
高橋さんは「腕を振ること」「みんなでゴールするぞ」とランナーを鼓舞しながら走ったという。高橋さんとほぼ同時にゴールし、ハイタッチした宮城野区の会社員小野寺大史さん(50)は「後半は足が止まりかけた。高橋さんと一緒に走って元気をもらった」と汗を拭った。
高橋さんはレース後の取材に「皆さんの熱い気持ちが、強い日差しに打ち勝った」と笑顔。観客が沿道から声援を送る風景に「通常開催が待ち望まれていたことがよく伝わった。また皆さんと大会で再会したい」と話した。