仙台市の美術家5人と米アリゾナ州トゥーソン市の美術家5人による作品展「5×5」が、青葉区一番町のアートルームEnomaで開かれている。現代美術の作品を互いに交換、手を加えて展示するユニークな試みで、トゥーソンのギャラリーでも同時に開催。日米両会場に、10人のコラボレーションによる刺激的な作品が並ぶ。
作品展は、仙台市の美術家・長里子さん(31)が「複数の作家の視点や感覚が交差するグループ展をしたい」と、Enomaを運営する美術家木村良さん(57)と企画した。仙台の美術家や、長さんが留学したアリゾナ大があるトゥーソンの作家に参加を呼び掛けた。
仙台市側の参加者は長さん、木村さんのほか、大柳暁さん(29)、斉藤道有さん(32)、関本欣哉さん(34)。トゥーソン市側は、同市の現代美術ギャラリー「ディナーウェア・アートスペース」を中心に活動するロバータ・ジェントリーさん、ルス・ヒルマンさんら5人。
Enomaでは、トゥーソンの作家の絵や写真、映像に仙台の作家がさまざまな切り口で手を加えた作品を展示。ディナーウェアには、仙台から送った作品を元にトゥーソンの作家が仕上げたアートを飾っている。ネットで互いの会場の様子を見ることができるように準備も進めている。
長さんは、世界各国の「ありがとう」という手話をデザインした箱にトゥーソンの作家の作品を入れた。斉藤さんはトゥーソンの作家の作品をベランダやトイレ、冷蔵庫の中など日常の生活空間に置き、写真に収めた。
水鉄砲に絵の具を詰め、作品に色を付けるパフォーマンスを行った関本さんは「引き金は人を殺すためではなく、絵を描くためにあることを表現した。銃社会の米国で自分の作品がどう変わるか楽しみ」と言う。長さんは「普段の活動とは違い、いい経験になった。継続して行いたい」と話す。
27日まで。入場無料。連絡先は美術カフェピクニカ022(721)2181。