仙台の「ハコバン」文化、動画に 地元百貨店・藤崎 生演奏バンドの音楽史をHPで紹介

1970年代に生演奏を聴かせる店「ハコ(箱)」で躍動した専属バンド「ハコバン」にスポットを当て、戦後米軍が持ち込んだジャズから現代に連なる仙台の音楽史を、百貨店の藤崎(仙台市青葉区)が動画にまとめた。「軽快なリズムとともに歩んできた街の魅力を再発見してもらいたい」と、自社のホームページ(HP)で公開中だ。

稲垣潤一さんら証言

 タイトルは「楽都仙台と日本のジャズ史~戦後GHQからハコバン文化への軌跡~」。仙台市出身のミュージシャンで、地元のハコバンで活動した稲垣潤一さん(70)ら関係者へのインタビュー映像で構成されている。

 稲垣さんは動画の中で、高校卒業後、在日米軍キャンプやビアガーデン、キャバレーなどに出演したエピソードを回想している。当時の楽屋では、東北中から集まったバンドマンのお国なまりが飛び交っていたと振り返る。ロック系のナンバーを演奏をしながら多くの人がジャズのアドリブに憧れていたそうだ。

 企画・監修は仙台のジャズ史を研究している岡本勝寿さん(70)=若林区=。市市民文化事業団が協力した。

 仙台のサックス奏者熊谷駿さん(32)=太白区=と岡本さんとの対談も、見どころの一つ。戦後間もない頃、藤崎周辺は進駐軍のダンスホールが立ち並ぶ「ジャズの中心地」だったと、定禅寺ストリートジャズフェスティバルに重なる楽都のルーツを紹介している。

 70年代の仙台には50軒以上のハコがあった。「ジャズを土台にハコバンが隆盛し、商店街を活気づけた時代」と岡本さんは解説する。

 制作した藤崎コンテンツデザイン部の鈴木健夫さん(56)は「仙台の音楽史の一こまを知ってもらい、わくわくしながら今の『一番町』の街歩きを楽しんでほしい」と話す。

 動画は約40分。今後はDVD化して県内の図書館などに配布する予定。

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