仙台のホテル、コロナ渦で青息吐息 宿泊や宴会激減 損害は億単位に

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う旅行やイベント、宴会自粛の影響が、仙台市内のホテルを直撃している。ビュッフェ形式の自粛でレストランは提供方法の変更を強いられ、客足の落ち込みから臨時休業するホテルもある。支配人らは「不安だ」「4月も相当落ち込む」とため息を漏らす。

 ホテルメトロポリタン仙台(青葉区)は9日から当面の間、ビュッフェ形式で提供していたレストラン「セレニティ」のランチタイム営業を休止し、和中2店舗に絞った。林健一総支配人は「客足が減り、提供方法を変えるよりも効率的な運営を考えた」と説明する。
 同ホテルには既に1万8000人分の宿泊キャンセルが寄せられ、損害額は2億円を超える。訪日外国人の団体旅行も12月までいったんキャンセルになるなど打撃は大きい。3月の宴会予約は見込みの1割にとどまり、ホテルメトロポリタン仙台イーストと合わせた全部門の損害額は4億円を上回るという。
 ホテルモントレ仙台(青葉区)は感染拡大が顕著になり始めた2月下旬以降、レストランの客足が落ち込んでいる。業務効率化のためランチ、ディナーとも予約がない日は和洋中3店舗のうち1店舗以外は臨時休業している。
 丹野利久総支配人は「仕入れの問題もあり、客が少なくても全店舗を閉めるのは難しい」とこぼす。
 3月の損害額は1億5000万円以上という江陽グランドホテル(青葉区)。8割の宴会予約がキャンセルとなった。宿泊を伴う宴会が多いため、宿泊そのものも予約の7割が消えた。
 仙台市内14ホテルでつくる仙台ホテル総支配人協議会は11日の定例会議で各ホテルの近況を共有。ビュッフェ形式のホテルの多くが、定食などに切り替えたことが報告された。
 業界では、パートやアルバイトの雇用継続のため正社員に年休取得を促す動きもある。林総支配人は「非正規社員は仕事がなければ収入が減ってしまう。何とか人材をつなぎ留めたい」と話す。
 協議会会長を務める江陽グランドホテルの後藤隆博総支配人は「東日本大震災当時を想起する。各ホテル力を合わせて急場をしのぎたい」と呼び掛けた。

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