児童ペン賞・童話賞に「後世に伝えるべき物語」
仙台市の児童文学作家佐々木ひとみさん(59)の「ぼくんちの震災日記」(新日本出版社)が、第9回児童ペン賞・童話賞(日本児童ペンクラブ主催)に選ばれた。佐々木さんは「後世に伝えるべき物語であると評価され、とてもうれしい」と話す。
受賞作は、河北新報夕刊で2020年1月上旬~5月下旬に連載した「がんづきジャンケン」に加筆、修正して改題した作品。
仙台市の内陸部で東日本大震災に遭った家族4人の在宅避難を巡る人間模様を描いた。小学生でも読めるように配慮された易しい文章ながら、臨場感がある。非常事態に支え合って生きる家族の愛情や絆の強さがしっかりと心に響く。
災害発生時に身を守るにはどうしたらいいか、災害にどう備えたらいいか、など防災、減災意識を高める描写を随所に盛り込む。世の中が不安に覆われていても「困ったときはお互いさま」という精神で助け合う大切さも伝えている。
佐々木さんの座右の銘は「土着の魂 旅人の目」。地域に愛着を抱いて暮らしている人の思いを大切にし、地域の魅力を新しい視点で捉える姿勢を大事にしているという。
受賞作も、震災直後の自身の体験に加え、被災者となった友人や知人から丁寧に聞いた話が基になっている。佐々木さんは「多くの人に読み継がれてほしい。受賞を励みに、今後も執筆活動に取り組みたい」と話した。
佐々木さんは茨城県日立市出身。東北福祉大卒。「ぼくとあいつのラストラン」で第20回椋鳩十児童文学賞を受賞している。
(沼倉淳)