仙台の初雪の平年値が今年から11月17日に変わった。昨年までは11月26日だったから9日も早い。世界は温暖化しているというのに仙台は寒冷化なの? と混乱しそうだが、理由は観測方法の見直し。仙台管区気象台が目視から自動に切り替えたため、わずかな降雪も確実に感知できるようになり、冬の便りが早まった。(編集部・藤沢和久)
前身の宮城県立石巻測候所仙台出張所が発足した1926年以来、気象台では職員が目で初雪の観測を続けてきた。気温の動向に合わせて、頻繁に窓の外を見たり、屋外に出たりして確認していた。
今年からは、10秒ごとに測定した気温、湿度と、降水を自動で感知する感雨器の数値から雪かどうかを自動的に判定する。
平年値は過去30年の平均で、原則として10年に1度見直す。昨年までの平年値は91~2020年のデータに基づいていた。観測方法を切り替えるに当たり、08~22年の15年分について、目視記録と自動化していた場合の初雪日を比較。その差の9日間を補正し、新たな平年値を11月17日とした。
気象台によると、雨と雪が混在して降る「みぞれ」は雪に分類されるが、雨との区別が難しい。佐藤純也主任技術専門官は「複数の職員で確認し、議論になることもあった。自動化でより細かく、客観的なデータが取れる」と説明する。
初雪の自動観測は、宮城以外の東北5県を含む大半の地方気象台で導入済み。今年は仙台など8気象台が移行し、目視観測が残るのは東京、大阪の両管区気象台だけとなる。
仙台の初雪の平年値は1971~2010年は11月21~22日だったが、続く11~20年は24日で、21~23年は26日と徐々に遅くなってきた。最も早いのは1995年の11月8日、最も遅いのは27年の12月19日だった。
山田博文主任技術専門官は「初雪はタイヤ交換の目安になるなど、生活に直結する情報。これからも発表を続けていく」と述べた。