仙台の変遷を写真集に 市民が提供した戦災復興期からの街並み収める

仙台市宮城野区の出版社「風の時編集部」は、戦災復興期から平成に至る仙台の街の移り変わりを収めた写真集「仙台クロニクル」を発売した。仙台駅や駅前広場、仙台七夕まつり、中心商店街などの風景を年代を追って紹介し、街の歩みをたどることができる。

 編集部発足の2006年から古い写真の提供を市民に呼び掛け、これまで約1万8000枚が集まった。写真集にはこのうち109枚を厳選して掲載。フリーライターの西大立目祥子氏、写真提供した一人の熊谷正純氏が解説を加えた。
 1945年の仙台空襲で全焼し、戦後に再建された仙台駅の4代目駅舎の写真(49年撮影)は、当時市中を走った輪タク(自転車タクシー)がずらりと並んでいるのが見える。その後に屋根に架かる「仙台駅」の看板は、まだ登場していない。
 青葉通は55年ごろや64年、76年、87年などに撮影された写真を掲載する。百貨店や銀行などのビルが次々建設され、車社会が進展していく様子がうかがえる。

仙台駅から東口を望む1987年撮影の1枚。宮城野通(中央)の拡幅工事が進む

 62年撮影の勾当台公園の写真には、赤れんが造りの旧県庁舎が写る。東二番丁通と勾当台通はまだ直通せず、定禅寺通でクランク状に交差した。87年に撮影された仙台駅から東口を望む写真は、宮城野通の拡幅工事が進む様子が分かる。
 収録した9割は河北新報夕刊に連載された「仙台・あの日 昭和の一葉」(2015年3月~20年6月)で紹介した。写真に関する情報提供を求めるイベント「どこコレ?」で撮影場所が判明した写真も載せた。
 編集部の佐藤正実代表(56)は「当時を知る人には懐かしんで見てもらえるだろうし、若い人には新鮮に映るだろう。写真集をきっかけに、世代間の交流が広がればいい」と期待する。
 A4判変型148ページ。税別5500円で販売中。連絡先は編集部022(295)9568。

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