仙台の有料会員制図書施設「8BOOKs」開業2年 文化発信施設としても定着

仙台市太白区八本松1丁目の有料会員制の図書施設「8BOOKs SENDAI(エイトブックス センダイ)」が、2022年8月の開業から2年を迎えた。貸し出しはしないが、館内の約1万冊の蔵書を自由に読むことができ、書店や図書館とは異なるユニークな施設。堅苦しくない雰囲気と工夫された陳列が人気で、文化の発信拠点としても定着しつつある。(経済部・手代木みずき)

 図書施設は、市内の不動産仲介業アイ・クルールが七十七銀行八本松支店の建物を買い取り、全面改装した。鉄骨2階の約540平方メートルで約60席。1階は文芸書や実用書などを独自の切り口で陳列し、2階は子ども向けの絵本や児童書などを並べる。飲食可能なスペースや授乳室も備える。

 施設によると、現在の会員数は約650人。うち5割を近隣の小中高校生が占め、読書に限らず、館内で勉強するためにも訪れている。休日は未就学の子どもと親の利用が多い。利用料金は大人が1日1300円、小中高生500円など。

 若林区の公務員水摩見自さん(51)は週末を中心に月5回ほど利用する。「週末の図書館は混雑するが、ここは会員制のため、静かにゆったりと過ごせる。ジャンルが異なる本が並んでいるなど、陳列が工夫されていて面白い」と話す。

 施設は2年間で約40回のイベントを館内外で開催してきた。23年2月は市在住の若手イラストレーターの個展、8月は宮城県の若手の小説家と写真家のトークショーを開催。24年1月には現代短歌の作家の作品を記したおみくじを期間限定で館内に設置した。利用者が地域で活躍する若者と交流できる機会を用意する。

 今後は会員の裾野を広げるため、大学生や専門学校生へのアプローチを強める。今月は「2周年記念」と題し、大学生らの利用を無料にするキャンペーンを30日まで展開している。

 スタッフがお薦めの書店や読書したいカフェなどを投稿するインスタグラムをフォローすることが無料の条件。学生が仙台の街を知り、つながりが生まれることを期待している。

 図書施設社員の山田はるひさん(28)は「若い世代が仙台の街をつくる人々の思いに触れ、ずっと住み続けたくなるような体験ができる。そんな拠点にしていきたい」と意気込む。

 営業時間は午前10時~午後7時。第2、4火曜と毎週水曜定休。連絡先は022(748)5781。

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