仙台の老舗・丸藤ベーカリーが製パン部門に区切り 給食用は継続

東北大や東北福祉大など、仙台市内の大学や高校、病院など約80カ所でパンを販売する「丸藤ベーカリー」が30日、給食を除く製パン部門の営業を終える。終戦直後に青葉区支倉町で開業して74年。伊藤淳一社長(75)は「安全なパンを届け続けることができてよかった」と感慨深げだ。

 丸藤ベーカリーは1945年、伊藤社長の両親が始めた。67年に青葉区北山の現在地に移転。現在は工場隣の店舗のほか、市内北西部を中心に学校や病院など80カ所、ハンバーガーショップやとんかつ店なども含めると100件以上の取引先にパンを届けてきた。
 手掛けるのは、クリームパンやカレーパンなどの菓子パン、サンドイッチなどの調理パンなど約80種類。柔らかく、昔ながらの懐かしい味で親しまれてきた。
 工場で働くパン職人の多くは伊藤社長と同世代。高齢化と機械の老朽化、人件費の高騰もあり、やむなく製パン部門を畳むことにした。「弁当を毎日持参する高校生が増えた。コンビニの影響も大きかった」と伊藤社長は言う。
 創業の地に近い東北大病院には月2~3回出店し、多くの来院者や入院患者、職員でにぎわっている。同病院漢方内科医師の有田龍太郎さん(37)は「素朴で飽きない味。クッキーやマフィンも好きで、買い置いて週末の当直時に楽しんでいた。食べられなくなるのは残念」と惜しむ。
 名取市の学校給食パン宮城協業組合名取工場での給食用パンの製造は続ける。伊藤社長は「学校と病院が相手なので衛生管理には細心の注意を払ってきた。最後まで安全なパンを届け続けたい」と語った。

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