仙台の老舗画廊、15年ぶり営業再開 貸しギャラリーで「街に活気を」

仙台随一の老舗ギャラリーとして知られた仙台市の「フジヤ画廊」が、15年ぶりに営業を再開した。貸しギャラリー業をメインに、市中心部でのアートの発信に力を入れる。オーナーの佐藤瑠都子さん(87)は「街中で気軽に美術に親しむ場所をもう一度作りたい」と意欲を見せる。

 フジヤ画廊は1963年、仙台市青葉区一番町にある佐藤さんの自宅兼書店の一角で営業を始めた。その後、1887年から続いた書店を閉め、東京で画廊を経営していた夫仲(あたる)さん(故人)と共に仙台初の本格的な常設画廊として展示に力を入れた。

 中央画壇の作家をはじめ、杉村惇(1907~2001年)や菅野廉(1889~1988年)、宮城輝夫(1912~2002年)といった県ゆかりの画家を積極的に紹介。学芸員や専門家を招いた学習会や全国の美術館巡りも企画し、市民がアートに触れる機会を提供してきた。

 「当時は街の百貨店にすら画廊がなく、展覧会も少なかった。おかげさまで画家や美術ファンの皆さんに喜んでもらえた」と佐藤さんは振り返る。

 約15年前に画廊を閉じてからは1階を洋服店に貸し出し、2階でなじみの美術愛好家が集うサロンを営んでいた。年々地元の店が減り、街に活気がなくなっていくのをさみしく思っていた佐藤さんは今年9月末、洋服店のテナント契約が終了したのを機に、1階を貸しギャラリーにすると決意した。

 約40坪の空間は展示作品が映える白塗りの木壁が特徴だ。利用面積に応じて1週間1万5000~3万円で貸し出す。利用がない週は画廊の貴重な絵画コレクションを展示する。佐藤さんは「作家の個展はもちろん、学校の美術活動や習い事といった作品発表の場として気軽に利用してもらいたい。街のにぎわいに一役買えたらうれしい」と話す。

 連絡先はフジヤ画廊022(222)5710。

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