東日本大震災で全壊し、解体が進む仙台市宮城野区のマンション「サニーハイツ高砂」の住民らが、現地再建を目指すNPOを設立した。集合住宅を核に、介護や子育て、医療などの機能を併せ持つ新たな「ついのすみか」を建設する。NPOは計画に参加する個人、団体を募っている。
今回の震災で、被災したマンションの住民が、住民以外にも協力を呼び掛け、複合型集合住宅の再建を目指すのは初めてとみられる。
住民有志ら十数人が昨年夏ごろから再建に向けた話し合いを始め、ことし3月、「NPOサニーハイツ高砂震災復興委員会」を設立した。新たな集合住宅は、福祉施設や保育所、幼稚園、病院なども備え、さまざまな世代が集うコミュニティー拠点とする構想を思い描く。
入居者の対象は、50歳以上と、被災者を想定する。「以前の住民の年齢構成や、高齢者が賃貸物件を借りにくい状況を考慮した」という。
被災者同士が支え合って生活する場として、災害公営住宅としても活用できるよう、市や県に働き掛けていく。施設規模や建設費など、大まかな計画を今月中にまとめる予定だ。
マンションの再建・建て替えは、現在の法律では、区分所有者の5分の4以上の賛成が必要。現時点で全189戸のうち半数以上が賛同しているという。
理事長の石田貞一さん(64)は「入居したら生涯、安心して住み続けられる集合住宅を目指す。ついのすみかとなるはずだった場所を再生させたい」と話し、住宅を失った被災者や医療・福祉法人、企業などに参加を呼び掛けている。
連絡先はNPOの事務局022(786)1363(電話、ファクス共通)、電子メールinfo@npo-shinsai-sh.com