仙台の被災2団地 盛土で全壊、切土の26倍超に

 東日本大震災で震度6クラスの揺れに襲われた仙台市内の二つの住宅団地で、斜面に土を盛って造成した「盛土」地盤に建つ住宅が全壊した割合は、山を削ってならした「切土」の住宅の26倍以上だったことが東北大の森友宏助教(地盤工学)らの調査で分かった。地割れや地盤沈下が大きな原因で、盛土、切土の境界(切盛境界)の住宅の全壊割合も切土の25倍超となった。
 調査が行われたのは、南光台団地(泉区)と鶴ケ谷団地(宮城野区)。南光台団地では住宅6540戸のうち48戸が全壊した。立地の内訳は盛土34戸、切盛境界13戸、切土1戸。
 面積当たりの全壊割合は切土に比べ、盛土が26.46倍、切盛境界が25.68倍だった。
 南光台団地の全半壊被害の要因は、地盤の亀裂と不均質な沈下が全体の約8割を占めたことが判明。地震動、のり面崩壊による被害はいずれも1割に満たなかった。
 鶴ケ谷団地は全壊41戸のうち盛土が24戸、切盛境界が17戸。全壊割合は切り土に比べ、盛土が28.02倍、切盛境界が31.47倍に達し、南光台団地と同様の結果が出た。
 調査は昨年4~6月に仙台市内8カ所で実施。目視で建物の外観から被害程度を判定した。他の六つの造成宅地についても調査結果の分析を進めている。
 森助教は「盛土地盤の全てが危ない訳ではなく、盛土の厚さや旧地形の傾斜角、地下水位などが関係してくる」と説明。「各種データをさらに集め、複合的な要因で被害が拡大するメカニズムを解明し、現場の実情に合った効果的な対策を考えたい」と話している。

タイトルとURLをコピーしました