山形県村山地方に続々と開設された子どもの遊び場が毎週末、仙台圏の親子連れで混み合っている。仙台周辺に常設無料の遊戯施設が少ないという事情もありそうだ。サクランボ、そば、温泉といった山形観光の定番に新しいアイテムが加わり、仙山交流を加速させている。
2013年にオープンした東根市の「ひがしねあそびあランド」の駐車場には週末ともなると、「仙台」「宮城」ナンバーがずらりと並ぶ。大型遊具のほか、泥遊び、火おこし、木工などを楽しめる冒険広場があり、暑い日には「ふんすい広場」で子どもたちの歓声が上がる。
運営するNPO法人クリエイトひがしねの村山恵子事務局長は「仙台からのお客さんには、特に自然の中での川遊びやボール遊びが人気です」と言う。仙台市若林区の「海岸公園冒険広場」が東日本大震災で被災し、休園している影響も少なからずあると推測する。
家族で年に2、3回訪れるという太白区の会社員岡野勝さん(43)は「仙台中心部の公園は狭くて思い切り遊べない。この時期はサクランボ狩りと組み合わせられるのも楽しみの一つ」と語る。
山形市児童遊戯施設「べにっこひろば」は、仙台の保育所や幼稚園の遠足も受け入れている。市こども保育課によると、14年末の開園から今年2月までに利用登録した仙台市民は約1100人。担当者は「施設は登録せずに利用できるので、ぜひ来てほしい」とPRする。
このほか、天童市には昨年5月に開館した子育て未来館「げんキッズ」もあり、利用はいずれも無料だ。
仙台市民の利用について東根市は「遊び場に来た親子はそばを食べ、農産物を買ってくれる」と歓迎し、「街を知って定住を考えてくれるかもしれない」と波及効果に期待を寄せている。