仙台の酒類卸が念願の自社製品 CF活用、海外市場開拓目指す

仙台市太白区の酒類卸売業「モリタミ」が立ち上げた新銘柄「SAKE DRESS(サケドレス)」が、クラウドファンディング(CF)の「Makuake(マクアケ)」が行う応援購入サービスで販売され、好評だ。念願の自社製品で、日本酒の魅力を世界に発信する。1月15日まで。

 新銘柄は注目の的となるよう願いを込め命名した。梨のラ・フランスに似た華やかな香りと、濃密な甘さが特長の純米大吟醸酒。ラベルには繊細な筆致で梅と松をあしらい、日本らしさをPR。酒蔵「大納川」(横手市)が受託製造する。

 起業家が展開する新商品やサービスを応援目的で購入するCFサービスを利用し、知名度向上を図る。手作業で火入れした「瓶燗(びんかん)」は720ミリリットルで1万2000円。水産加工「ヤマキイチ商店」(釜石市)が手掛ける活ホタテ6殻と瓶燗のセット(1万8000円)なども用意した。CF終了後は、自社サイトでの販売を予定する。

 モリタミは95年前、造り酒屋として創業。ピーク時には南部杜氏ら蔵人が十数人在籍し、銘柄「民光」を一升瓶換算で年間12万本生産していた。1978年の宮城県沖地震で蔵が倒壊し、日本酒製造をやめた。

 新銘柄を企画した取締役の森将さん(34)は、かつて航空会社に勤務。乗組員の宿泊先を手配する業務で世界60カ国を回り、日本酒が浸透していない現状を痛感した。「質の悪い清酒をショットグラスで一気に飲むなど、誤った飲み方が広まっていた」と振り返る。

 「『日本酒は悪酔いする』というイメージは昔の話。技術革新でおいしい日本酒が増えている。所得が伸びている中国ではアルコールの消費量が増えており、市場を開拓していきたい」。将来的には自社での醸造を視野に入れる。

 CFの目標金額は30万円だが、既に290万円を超える資金が集まっている。

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