奈良時代に建てられた仙台市若林区の国史跡「陸奥国分寺跡」で、寺院の北辺境界が市教委の発掘調査で定まり、南北の長さが約270メートル(900尺)あることが判明した。東西は約240メートル(800尺)で、敷地の形状は整った長方形であることが分かった。
市教委は24日、5月13日に調査を始めた現場を報道 機関に公開した。寺院の北側に巡らされた築地塀(ついじべい)(屋根付きの土塀)の痕跡が、東西に長さ28・6メートル(幅最大2・5メートル)に延びていることが確認された。
「掘り込み地(じ)業(ぎょう)」と呼ばれる地盤改良工事の跡で、深さ30~90センチの地中に黄色の土が何層にも重なっていた。塀が重みで沈み込まないよう地面を掘り込み、粘土質の土を埋め、たたき固めたとみられる。築地塀の痕跡から約6メートル北側では、敷地境界を示す約1・5メートル幅の溝跡も見つかった。
市教委は2008年までの調査で東西南の三方の境界を画定した。東日本大震災による中断を挟み、20年から北辺を探っていた。今後は伽藍(がらん)以外の建物、見つかっていない北門の位置などに関する調査を続ける。
陸奥国分寺は741(天平13)年に聖武天皇の命令で全国に建立された官寺の一つで、県内最古の寺。江戸時代に仙台藩祖伊達政宗が一部を再建した。
市教委は一般向け遺跡見学会を27日、現地で開く。午前10時半と午後1時からの2回を予定。事前申し込み不要。当日の連絡先は市教委文化財課090(4240)7043。