仙台への留学生過去最多に ベトナム爆発的増加

学都・仙台で学ぶ留学生が、2014年4月時点で2776人と過去最多を記録した。国別の内訳を見てみると、隣国の韓国、中国が東日本大震災を契機に減少 した一方、日系企業の進出が進むベトナムが爆発的に増加。留学生倍増計画を掲げる政府の後押しもあり、大学や関係団体は優秀な学生の囲い込みに余念がな い。(報道部・古賀佑美)

韓国・釜山出身の劉陳〓(ユー・ジンヨプ)さん(30)は著名な教授の下で学びたいと、13年4月に来日した。東北大大学院工学研究科で青色発光ダイオードの研究に打ち込む。
「最先端の技術を学べている。仙台に来てよかった」と劉さん。しかし、家族や友人からは福島第1原発事故の影響を心配されるという。
仙台国際交流協会によると、韓国人の留学生は現在147人で、震災前の268人から約4割減った。韓国国内では日本語学科を廃止する大学も多い。
駐仙台韓国総領事館の南宮煥(ナングン・ファン)さん(49)は震災や原発事故の風評に加え、円安の影響を指摘する。「日本企業で働く魅力が減った」と見立てる。
半面、ベトナム人留学生は10倍増。韓国を追い抜き、留学生の4割を占める中国の背後をうかがう。
市内のある日本語学校は生徒の半分以上がベトナム人だ。技能実習生として来日した若者が、日系企業への就職を目指して再来日するケースが多い。
世界に目を転じると、先進諸国では既に優秀な留学生の争奪戦が起きている。負けじと日本政府も20年度までに30万人の留学生を受け入れる計画を表明した。
これに呼応して1700人超の留学生が学ぶ東北大は、英語で全ての単位が取得できるコースを大学に3、大学院に13開設した。教員が世界中を飛び回って留学希望者の面接なども実施している。
留学生の就職支援も手厚い。仙台市の一般社団法人「東北多文化アカデミー」は、留学生向け就職セミナーを開催し、海外進出を検討している地元中小企業と留学生とのマッチングに努めている。
ただ、企業側の反応は鈍く、セミナー参加企業は10社程度にとどまっているのが実情だ。アカデミー事務局の松崎修一さん(60)は「仙台が好きになり、第二の古里として就職を望む留学生も多い。地元企業も意識改革し、即戦力を迎え入れてほしい」と呼び掛ける。

[注]〓は「火」へんに「華」

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