藤田観光(東京)がJR仙台駅前に2013年春の開業を目指していた「仙台ワシントンホテル」のオープンが、同年夏以降にずれ込むことが22日、分かった。入居を予定する新ビルの着工が、東日本大震災の復興需要のあおりで大幅に遅れているため。市内のワシントンホテルとしては数年ぶりの「復活」となるだけに、藤田観光は「一日も早い完成を願うしかない」と想定外の事態に困惑している。
開業を予定するのは、昨年4月に閉館したホテルサンルート仙台跡地(仙台市青葉区中央4丁目)。土地を所有する機械工具商社の菊重(仙台市)が地上9階のビル建設を計画し、当初はことし5月着工、来年4月の完成予定だった。
菊重によると、旧ビルの解体工事は3月までに終了したが、建設工事の委託業者と請負金額で折り合いが付かず、契約締結の見通しが立っていない。復興需要の増加で建設資材や人件費の積算価格が高騰していることが背景にあるという。
同社は「現時点でビル建設の方針に変わりはない」と説明。ただ「採算ベースに乗らない事業はできない。いつまでも価格が折り合わなければ、方針を変更せざるを得なくなる」とも話す。
藤田観光は「ホテルの復活は新ビル建設が大前提。オープンの時期以外は計画に変更はないのだが…」と当惑する。
藤田観光は全国30カ所でワシントンホテルを経営。仙台市内にも2館あったが、不採算を理由に02年と08年に閉館させた。昨年8月、震災復興の宿泊需要などを見込み、「復活」を発表した。
出店計画では、ビルの1階に直営レストランが入り、2~9階は客室(シングル198室、ツイン25室)にする。シングルは通常より広めの18平方メートルを確保する。