仙台市太白区の「あすと長町」で、マンションの整備が急ピッチで進んでいる。東日本大震災後に市中心部の物件に品薄感が強まっていることもあり、計画中を含めた戸数は4棟700戸を超える。不動産関係者は「数年後には仙台を代表するマンションエリアになる」と予想している。
住友不動産は約400戸が入居する24階建てのタワー型の建設を2014年に始める。仙台支店は「市内でも最大規模の物件になる」とアピールする。
大和ハウス工業は15年3月、11階建て121戸の完成を見込む。仙台支社は「地区の将来性は抜群。震災後に用地供給が逼迫(ひっぱく)する中、物件としての希少性が高い」と話す。
08年のリーマンショック前に年間約2000戸供給されていた仙台市内の新築マンションは現在、ほぼ半分の水準に落ちた。被災者の移転需要が高まるにつれ、物件の不足感が強まっている。
130戸の販売を担うワールドアイシティ(仙台)は「新たなマンション拠点は市内ではここだけ」と断言する。9月発売の97戸の7割に買い手がついたというナイス(横浜市)も「ファミリー層を中心に反応は上々」と話す。
地区内では14年秋にスウェーデンの家具大手イケアの大型店が開店するほか、若林区から移転する市立病院も14年秋以降の開業を予定する。利便性の向上が、マンション立地を加速させている。
人気地区とあって、価格帯は上昇傾向にある。マンションの市場分析などを手掛けるDGコミュニケーションズ仙台支社によると、地区内の物件の平均坪単価は150万~160万円。太白区全体の平均を20万~30万円上回る。
同支社は「青葉区などの中心部に比べれば割安。人気は揺るがないだろう」と分析している。