仙台・北四番丁の築49年ビルを複合型マンションへ 大和ハウスが建て替え円滑化法活用 敷地売却型は東北初

大和ハウス工業(大阪市)は30日、仙台市青葉区二日町の築49年の用途複合型集合住宅「カルコスビル」をマンション建て替え円滑化法の敷地売却事業を活用して解体し、新たなマンションを建設すると発表した。大和ハウスによると、同法の敷地売却事業による老朽マンションの建て替えは、東北で初めてのケースとなる。

 [マンション建て替え円滑化法] 耐震性などが不足した老朽マンションの建て替えを促すため、2002年に施行された。14年の改正で、土地・建物の売却に必要な所有者の合意要件を「全員」から「8割以上」に緩和。20年の改正では外壁の剥離やバリアフリー性能が確保されていない集合住宅も要件緩和の対象とした。所有者らが同じ敷地内にマンションを建て替える際の容積率緩和といった特例もある。

12月にも解体着手、28年完成へ

 大和ハウスが同日、カルコスビルの区分所有者でつくる組合から、建物と敷地の引き渡しを受けた。同社は12月にもビルの解体に着手。敷地内にテナント部分もある複合型マンションを建設し、2028年に完成させる。総戸数やテナント部分の面積などは調整中としている。

 同社によると、市地下鉄南北線北四番丁駅に近接するカルコスビルは地上10階、地下1階で延べ床面積は約6394平方メートル、敷地面積は約934平方メートル。住居24戸のほか、金融機関や飲食店などが入る22区画があった。仙南信用金庫(宮城県白石市)の二日町支店などの入居店舗は、9月末までに退去・移転した。

 老朽化に伴い、区分所有者らが18年から建物の更新を検討。多額の費用を要するため、修繕や区分所有者による建て替えは困難と判断した。23年2月に大和ハウスを事業協力者に選び、敷地売却事業の活用を決めた。

 マンション建て替え円滑化法に基づき、敷地売却などの計画は市の認定を受けた。国のモデル事業にも採択され、大和ハウスは物件の設計や土地整備などに国の補助金を活用できる。

 同社は、敷地内に公開空地を設けて容積率緩和の認定を受けた上で、カルコスビルより高層のマンションを建てる予定。建物内のエネルギー収支ゼロを目指す「ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)マンション」の認証取得も目指す。

 市によると、市内に築40年超のマンションは約200棟ある。大和ハウスの担当者は「老朽化したマンションの建て替えという社会課題の解決に向け、仙台をはじめ全国で関連事業を積極的に進めたい」と話した。

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