仙台市が市中心部に整備する新たな音楽ホールの建設地として、青葉区の市地下鉄東西線国際センター駅北側「せんだい青葉山交流広場」を最有力に検討していることが29日、複数の関係者への取材で分かった。郡和子市長の最終判断に向け、詰めの調整に入った。現地存続が決まった宮城県美術館などがある文教地区への立地で、拠点性を高める狙いがあるとみられる。
有識者の音楽ホール検討懇話会は2019年3月、2000席規模の「生音源に対する音響を重視した高機能、多機能ホール」の整備を提言。民有地以外では青葉区の錦町公園、西公園、勾当台公園、青葉山交流広場、青葉山公園など計7カ所を候補地に挙げた。
青葉山交流広場は、近隣に仙台国際センターや市博物館、東北大川内キャンパス、県美術館などの文教施設が集積する。東西線の駅前で交通アクセスが良く、音楽ホールと各文教施設との連携も期待できる。
市は追廻地区に「公園センター(仮称)」を整備する。市教委も21年度、仙台城跡で大手門復元に動きだす。郡市長は県美術館の現地存続が決まった16日、文教ゾーンに関し「文化・芸術拠点として、より高みを目指したい」と表明した。
音楽ホールの建設地は当初、都心部の回遊性向上の点で優位性がある錦町公園と西公園が有力視された。だが、市の緑化政策を議論する杜の都の環境をつくる審議会が「公園は空き地でなく、都市の資源だ」と公園内への整備に反発した。
公園を建設地とするには都市計画公園の廃止、保存樹林の伐採や移設、記念碑の移設や撤去などが必要になり、同審議会の理解も得なければならず、課題は少なくないとみられる。
青葉山交流広場は、樹木の伐採を最小限に抑えられる利点がある。ただ、音楽ホール整備の目的の一つ、都心部の回遊性向上をどう図るかとの課題が残る。市は最終判断に向け、特に西公園との比較検討を急ぐ。
市は市民会館と戦災復興記念館(ともに青葉区)を将来的に廃止し、音楽ホールに機能を集約する方針。