仙台・東部復興道路の全通延期 台風19号でのり面損傷

台風19号の被害拡大を受け、仙台市は16日、沿岸部のかさ上げ道路「東部復興道路」で19日午後3時に予定していた全線開通を延期すると発表した。大雨の影響で道路のり面の表土が流出する被害が出た。開通日は未定で、11月以降の見通し。若林区の震災遺構荒浜小などで行う予定だった開通式典も延期する。
 表土の流出は盛り土したのり面の22カ所。宮城野区岡田では長さ約120メートルにわたって芝が滑り落ち、土が露出した。市は構造への影響を調査し、復旧作業を実施した上で開通時期を改めて決める方針だ。
 東部復興道路は2014年3月着工。東日本大震災で甚大な被害を受けた沿岸部で、海岸防潮堤、防災林と共に津波被害を軽減する「多重防御」として、約6メートル盛り土して整備した。総延長10.2キロで、開通後は現在の宮城県道塩釜亘理線と並行する区間は県道、残りが市道となる。
 盛り土は18年度末にほぼ完了しており、台風被害を受けた状態でも堤防機能は果たせるという。
 市内では台風19号で2人が死亡し、住宅約190棟が浸水した。市は被害の大きさを考慮した上で、県内被災地の災害復旧支援も担う必要があるとして開通日の延期に踏み切った。
 郡和子市長は「心待ちにしている市民には申し訳ないが、沿岸部の住民や訪れる人たちが安心して道路を利用できるよう万全を期して新たな開通を迎えたい」とコメントした。

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