総合建設業の橋本店(仙台市)の関連会社「橋本不動産」(同)は、大手ゼネコンが70年ぶりに開発した型枠工事の新工法「型枠一本締め工法」に必要なアルミパイプなどのリース事業に乗り出す。新工法は型枠工事の作業負担軽減につながると期待されており、高額な初期費用を抑えることで導入を促し、人手不足や高齢化に直面する建設業の生産性向上を後押しする。
建設業界の生産性向上を後押し
橋本不動産は7月上旬、宮城県内で型枠工事を手がける牛澤工務店(角田市)、山村工務店(美里町)、沼正工務店、サトー工務店(共に南三陸町)の4社と協定を締結した。今後、必要本数を聞き取り、5000万~1億円でまとめて購入。各工務店と5年間のリース契約を結び、有料で貸し付ける。
アルミパイプや関連部材の保管やメンテナンスは、貸与先が責任を持つ。リース期間中は、橋本店以外の建設業者が手がける型枠工事でも使うことができ、期間終了後は買い取るかリースを継続するか協議する。
新工法は大手ゼネコンの鹿島などが開発。従来工法は鋼管2本を一組にして木製の型枠を支えるが、新工法は1本のアルミパイプを横につないで支えにする。
アルミパイプは鋼管より70%も軽量で運びやすく、取り付け作業の効率が20%向上する。型枠工事全体のコストも新工法では10%削減できる。ただ、アルミパイプの価格は鋼管の4、5倍と高額で、初期費用の負担が重荷になっている。
牛澤工務店の田中賢一社長は「新工法は未知の世界だが、まずは使ってみることを最優先にしたい。導入には結構な金額がかかりそうで、リースで少しでも安くなればいい」と話す。
新工法は、4社が関わる仙台市片平丁小(青葉区)校舎などの増改築工事、岩沼市の岩沼署改築工事で9月にも導入される。東北では初めての施工となる。
橋本不動産の佐々木宏明社長(橋本店会長)は「人手不足やコスト増に悩む協力会社をしっかり後方から支援すれば、グループ全体の生産性を高めることにもつながる」と期待する。