仙台・深沼海水浴場、今夏14年ぶりオープン 津波避難など課題を検証し、遊泳解禁へ

東日本大震災以降、遊泳禁止が続いている仙台市若林区の深沼海水浴場が今夏、14年ぶりに開場される。7月15日~8月18日の計35日間を想定。市は本格再開に向けた実証実験と位置付け、津波避難など運営上の課題を検証する。

 遊泳エリアは海岸の幅約200メートルに限り、時間は午前9時~午後4時。監視員5人を配置し、仮設のトイレ、シャワー、有料駐車場200台を設ける方針。1日当たり2000人の来場を見込む。

 課題の一つは、津波警報が出た時の避難場所の確保。周辺の一時避難施設は、約800メートル離れた震災遺構「荒浜小」だけしかなく、海水浴客が800人に達した時点で入場規制する方向で検討している。

 市は2016~20年度、荒浜小の南北に高さ約10メートルの「避難の丘」を2カ所整備したが、県が22年5月に公表した最大級の津波浸水想定で高さ不足となった。市は23年度から約1メートルのかさ上げ工事を進めているが、今夏は間に合わない見通しだ。

 深沼海水浴場は震災前の10年、1日最大6677人、7月17日~8月15日の30日間で延べ4万6912人が訪れた。17~19年は2~4日間限定で、事前に申し込んだ市内在住者らを対象に遊泳を解禁した。新型コロナウイルス禍による中止を経て22、23年は海辺でバーベキューなどを楽しむ親水イベントを開いた。

 市観光課の日下和彦課長は「県内の他の海水浴場が再開する中、市内唯一の海水浴場への期待は高まっている。ライフセーバーの確保などの課題もあり、来年以降、継続できるかどうか見極めたい」と話す。

タイトルとURLをコピーしました