仙台・秋保ヴィレッジ、開業10年 買い物客は累計442万人 農家の収入増に貢献

お茶の井ケ田(仙台市)が運営する仙台市太白区の観光農業施設「秋保ヴィレッジ」が2日、2014年のオープンから10年を迎えた。農産物直売所などが入る物産館「アグリエの森」の買い物客は、23年度末時点で累計約442万人。秋保地区で屈指の集客施設に成長し、地元農家の収入増に貢献する。開業以来、周辺にはビール醸造所など約10施設が進出し、地域の活性化をけん引している。

周辺に多彩な施設進出、温泉訪問客も増加

 秋保ヴィレッジは、お茶の井ケ田が茶と関係の深い農業を支援しようと、秋保温泉街の入り口に近い場所に整備した。アグリエの森にはフードコートや土産品販売コーナー、秋保銘菓「千日餅」の生産工場、茶葉を使った足湯などもある。敷地内は子どもの遊び場や農園、庭園などが広がる。

 アグリエの森の買い物客数(レジ通過客数)は初年度が約36万人で、その後は右肩上がりで推移し、18年度は約50万人に達した。コロナ禍の20年度も約40万人が訪れ、持ちこたえた。23年度は約46万人だった。

 農産物直売所で「葉物野菜は2日間売れ残ったら農家に返す」といったルールを定め、商品の新鮮さを追求したところ秋保温泉の観光客だけでなく、市内からの来店客が増えたという。

 直売所に登録する生産者数も10年間で約5倍の273人に増加した。農家からは「安定した収入が見込めるため、設備投資ができるようになった」との声が寄せられているという。

 秋保ヴィレッジの誕生で秋保温泉を訪れる人も多くなった。宿泊者と日帰り利用者を合わせた数は、開業前の13年度は約188万人だったが、開業後の14年度は約36万人増加して約224万人となり、17年度には254万人を記録した。

 年間約8億円を売り上げる秋保ヴィレッジは、お茶の井ケ田にとって経営の柱の一つ。オリジナル商品の石臼をイメージしたバウムクーヘンの売れ行きも好調で、敷地内には12月にも食品製造工場が完成する。

 同社は開業10年を記念し、4日から紅白の菓子「喜久福」の配布やミニトマト詰め放題などのイベントを順次開く。統括リーダーの石垣直哉さんは「地元の人が楽しめる施設は観光客が増える。秋保を盛り上げるのは変わらずやっていきたい」と話す。

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