仙台市は18日、東日本大震災で甚大な地滑り被害があった太白区緑ケ丘4丁目を対象にした対策方針の説明会を、同区の緑ケ丘第4町内会館で開いた。被災状況や住民アンケートに基づき、地区中央部で集団移転、周辺部では現地再建を念頭に事業の検討を進めていく考えを明らかにした。
説明会には住民ら約100人が参加。アンケートは、隣接する青山2丁目の一部を含む土地・建物所有者124人のうち、112人(回収率90.3%)が回答した。
今後の住まいについては「移転したい」が45人、「移転した」が14人で移転希望者が過半数を占め、「元の場所で生活したい」は33人。移転形態の希望は、復興公営住宅への入居が29人、住宅の新築・購入が11人いた。
市側は(1)中央部は広範囲に複合的な地滑りが発生し、地盤の安定性確保が困難(2)現地再建の希望が周辺部で多い-などとして、中央部で防災集団移転促進事業、周辺部では造成宅地滑動崩落緊急対策事業の実施へ向けた検討作業に取り組む方針を示した。現時点では被災宅地約120区画のうち、80区画弱が移転対象になるとみられる。
今後は、今月下旬から測量や地盤調査を開始。二つの事業ごとの検討作業を並行して進め、5月末に現地再建と集団移転の区域案を示す見込み。
参加者からは「移転する地区以外でも土地を買い取ってほしい」「2事業を一緒に進めようとすれば、さらに対策の実施が遅れるのではないか」などの意見が出された。
市住環境部の菊地正宏部長らは「公共上必要な土地でなければ買い上げはできない。2事業それぞれに早くまとまったプランから報告したい」などと答えた。
市が丘陵部被災宅地で、集団移転を検討するのは泉区松森陣ケ原(11区画)に続き2地区目。