東日本大震災で地割れや擁壁崩壊など大規模な宅地被害があった仙台市太白区緑ケ丘4丁目の復旧方針で、市が集団移転を視野に入れて検討を進めていることが19日、明らかになった。住民の意向を把握した上で、来年1月にも移転事業実施の可否の方向性を見定める。
市は、市宅地保全審議会技術専門委員会などの見解を基に、4000カ所を超える被災宅地の復旧策を練っている。国の事業や市の助成制度による現地再建が基本だが、同地区は高い地下水位と緩い地盤の影響で、対策工法を施しても今回の震災クラスに耐えうる強度を確保することは困難との見方が強まっている。
専門委は、9月に大筋でまとめた対策工法の基本方針で「地震や大雨などで宅地変状が起こる可能性が高い。集団移転なども考慮し、より安定した宅地を求めることが適切」との付帯意見を付けた。
市は20日の宅地審などを経て、来年1月上旬にもアンケートや個別面談による意向調査を始める考え。合意が得られれば、国の防災集団移転促進事業の適用に向けた手続きを進める方針。
緑ケ丘地区は1960~65年、民間業者が造成した。市の調査では、4丁目北部の緑ケ丘第4町内会約200世帯のうち、宅地117カ所が被災した。市は3月下旬に避難勧告を出し、二次災害防止のため計器による地盤の観測、定期的な巡回などを行っている。
市によると、緑ケ丘地区は1978年の宮城県沖地震でも大規模地滑りが発生。1丁目と3丁目の28世帯が移転促進区域となり、20世帯が太白区山田北前町に集団移転した。