仙台市太白区の旧国道4号(市道)に面した長町商店街エリアで、一部の車線を減らして歩道を広げる社会実験が秋に実施される。区は6月にも、地元商店街や町内会、県警などでつくる官民連携推進会議を設置し、協議を本格化させる。狭い歩行空間や低い回遊性を改善し、にぎわい空間を創出したい考えだ。(せんだい情報部・吉江圭介)
区は3月、「長町・歩いて楽しい街並みの将来像(ビジョン)」を策定し、社会実験の構想を盛り込んだ。関連事業費として市の本年度予算に約3500万円が計上された。
ビジョンの対象地域は旧国道4号の沿道を中心に、JR長町駅から市地下鉄長町一丁目駅にかけての約800メートル(地図)。旧4号は片側2車線で、歩道は北に進むほど狭くなる物理的な問題を抱える。
社会実験の期間は数日間の見通し。歩行者を増やす仕掛けとして、空き店舗や空き地でキッチンカーや仮設店舗を設ける計画もある。イベント時の歩行者天国化や自転車専用レーン、歩道へのテーブル設置なども検討する。
実験は2026年度まで3年にわたって実施し、車線減少に伴う道路渋滞といった課題を検証。ビジョンを具体化させた基本計画を策定し、27年度から段階的にハード整備に乗りだす方針だ。
市南部の広域拠点として位置付けられる長町地区は三つのエリアに分かれる。あすと長町はマンション建設が一気に進み、長町南は商業施設が集積するが、長町商店街は空き地や空き店舗が散見され、周辺の住民や訪問客を十分取り込めていないのが現状だ。
商店街や町内会の関係者は昨年度、ワークショップを8回重ねて将来の街並みのイメージをまとめ、区がビジョンに反映させた。
長町商店街連合会の堀内祥弘会長(47)は「商店街がこのままで良いのかという思いがある。社会実験などの取り組みは100年に1度くらいのチャンス。食べ歩きや歩行者が座って休める環境をつくり、人中心の街並みにしたい」と意気込む。