仙台・集団移転跡地の利活用事業99%決まる ドッグランや農園、温泉複合施設も

仙台市が進める東日本大震災に伴う防災集団移転跡地の利活用事業は、5地区35区画(計44万7265平方メートル)のうち、99.7%に当たる33区画(計44万5780平方メートル)の事業者が決まった。現在は更地が広がる市沿岸部だが、今後は集客施設や農園などの整備が本格化する。昨年11月に全線開通した東部復興道路と共に、被災地ににぎわいを創出する跡地利活用の内容を地区ごとに紹介する。

■南蒲生地区
 橋本建機(名取市)が今年5月中旬のオープンを目指し、天然芝を張った「海の近くのドッグラン」(仮称)を開設する。障害者も働く自然農園MITU(宮城野区)は新浜地区と合わせ9区画を賃借し、跡地近隣で営む事業を拡大する。
 残り2区画(約1485平方メートル)の利活用が未定で、市は常時募集している。

■新浜地区
 市民団体カントリーパーク新浜(若林区)が2018年5月、ビオトープと冬水田んぼを始めた。「仙台メダカ米」を生産する遠藤環境農園(宮城野区)は、20年度から野菜や海浜植物などの栽培に乗り出す。
 宮城野区岡田でカフェ風と手と土を経営する鈴木孝博さん(52)は来場者がニワトリと触れ合い、卵を購入できる「風手土(かぜてつち)農園」を20年度にも始める。「他の事業者と連携し、地区に人を呼び込みたい」と意気込む。

■荒浜地区
 JR東日本グループの仙台ターミナルビル(青葉区)が今秋、年間を通して果物狩りが楽しめる観光果樹園をオープンさせる。
 フットサルコートなどを運営する一般社団法人仙台スポーツネットワーク(若林区)は、サッカー場などの運動施設を21年度中に整備。市民団体の荒浜のめぐみキッチン(同)は、地域資源を使った体験イベントの新たな活動拠点「深沼ベース」(仮称)を20年度に新設する。
 荒浜の元住民たちが養鶏を営む深沼アグリサービス(若林区)は20年度に本格的な鶏舎を建設し、事業拡大に乗り出す。今野不動産(青葉区)は農園やイベント広場のある「ラララ♪ガーデン」(仮称)を21年度にもオープンさせる。
 平松農園(若林区)は震災遺構荒浜小に隣接する跡地を賃借し、子どもや新規就農者が交流する農園を21年度にも開く。元住民が加わる市民農園や松の育苗事業なども計画されている。

■井土地区
 地元農家による農事組合法人の井土生産組合(若林区)が、ブランド野菜「仙台井土ねぎ」の20年度からの生産開始を目指す。

■藤塚地区
 建設業の深松組(青葉区)などが設立した仙台rebornが22年4月、レストラン、農園、温泉などの複合施設「アクアイグニス仙台」をオープンさせる。

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