仙台・青葉山複合施設、音楽ホールは最大2100席 コンサートやオペラ対応の可変型 基本設計最終審査で東京の業者選定

仙台市が青葉区青葉山に整備する新音楽ホールと東日本大震災中心部メモリアル拠点との複合施設を巡り、市は8日、基本設計の業務委託候補者を決める最終審査を行い、5者の中から藤本壮介建築設計事務所(東京)を選んだと発表した。受託費の上限は税抜き3億5351万円。市は同事務所との協議などを経た上で、12月に契約を締結する方針。

5者が公開プレゼンテーションに臨む

 技術提案書などによると、複合施設は地上4階、地下1階で、延べ床面積は3万1388平方メートル。コンセプトは「たくさんの/ひとつの 響き」。

 メインの音楽ホール(最大2100席)を取り巻くように長方形のスラブ(床版)を複数設け、バルコニー席やホワイエ、ロビー、テラスとなる。1階は広場のような開放的なロビーと大中小の練習室、ワークショップスタジオを設ける。

 音楽ホールはコンサート、合唱コンクール、オペラ、舞台演劇の4パターンに対応できる可変型。3月11日のメモリアルコンサートなどの際には背後の壁を開放することで、建物全体が一つの大きな音楽の場になるよう配慮した。

 2階の震災メモリアルエリアはアーカイブライブラリーと常設展示を配置し、独立性の高いエリアとする。多目的交流スペースや市民活動ラウンジも置く。

 最終審査は青葉区の日立システムズホール仙台であり、公募型プロポーザルで1次、2次審査を通過した5者が公開プレゼンテーションに臨んだ。京都市京セラ美術館長を務める建築家の青木淳氏ら5人の審査委員が審査した。

 審査結果を発表した青木氏は、委託候補者について「それぞれの人が震災を違う思いで体験したが、ある時はみんな一緒に響き合おうという瞬間も大事。二つの要素から成るホールを建築として考え直し、実践していくという強い意気込みがあった」と評価した。

 複合施設は市地下鉄東西線国際センター駅の北側に建設する。基本設計は2024年度、実施設計は25年度、入札と工事は27年度を予定し、31年度の開館を目指す。整備費は現時点で約350億円を見込む。

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