仙台・音楽ホール建設地、青葉山交流広場に決定 震災メモリアル拠点と複合化

郡和子仙台市長は24日、新たな音楽ホールの建設地を市地下鉄東西線国際センター駅北側「せんだい青葉山交流広場」(青葉区)と決定し、市議会関係者に伝えた。東日本大震災の中心部メモリアル拠点との複合施設にする。青葉山地区の将来像を描いた「青葉山エリアビジョン」を策定する方針も説明した。

 郡市長は昨年8月の市長選で「我が国トップクラスの音楽ホールを創る」を重点公約の一つに掲げ、再選された。青葉山交流広場は敷地面積が約1万9000平方メートル。市が目指す2000席規模の音楽ホール建設には十分な広さがある。

 青葉山エリアには仙台城跡や宮城県美術館、市博物館、仙台国際センター、東北大川内キャンパスなど文教施設が集まる。郡市長は4日の記者会見で交流広場を「さまざまな学術、芸術、歴史、文化が集積する魅力的な場所」と評価した。

 追廻地区では2023年開館の公園センター「仙臺緑彩館(せんだいりょくさいかん)」を整備中。東北大青葉山キャンパスでは23年度、次世代型放射光施設が稼働する。仙台城跡では大手門の復元や脇櫓(やぐら)(隅櫓)の建て替えが計画され、拠点性の向上が見込まれる。

22年度、基本構想の検討に着手

 郡市長は音楽ホールと青葉山エリアの親和性、今後加速する同エリアの拠点化の動きなどを重視し、建設地と判断したとみられる。市は22年度に基本構想の検討に着手。文化芸術振興の指針「文化芸術推進基本計画」の策定にも乗り出す。

 震災メモリアル拠点は20年10月、有識者検討委員会が「経験を伝えるだけでなく、災害を乗り越えるすべを持った社会文化の創造」の役割を担う施設を提言した。ホールとの複合化は集客の相乗効果や整備費用の抑制が狙いとみられる。

 仙台市の新たな音楽ホール整備は、市が1992年に音楽堂構想を掲げて以来の懸案。財政悪化で一時は凍結されたもののの、東日本大震災で音楽の力が再認識され「楽都」の拠点整備を求める声が高まった。

[音楽ホール]有識者の仙台市音楽ホール検討懇話会は2019年3月、2000席規模の「生音源に対する音響を重視した高機能、多機能ホール」の整備を提言。300~500席程度の小ホールも備え、管弦楽やオペラ、歌舞伎など幅広い舞台芸術を上演できる施設を求めた。建設候補地は民有地以外に青葉山交流広場、錦町公園、西公園の市民プール跡、市民図書館跡、お花見広場などのいずれも青葉区の7カ所を挙げた。建築面積は9000~1万1000平方メートルと想定。整備費は200億円以上を見込む。

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