仙台七夕「中止やむなし」 あす開催可否決定

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、仙台七夕まつり(8月6~8日)の開催が危ぶまれている。国内外から約200万人が訪れる東北有数の夏祭り。関係者からは「安全面から中止も仕方ない」との声が漏れ、開催見送りの公算が大きい。中止となれば、まつりが現在の形で始まった1946年以降で初めてとなる。

 主催する仙台七夕まつり協賛会事務局の仙台商工会議所によると、実行委員約200人を対象としたヒアリングで、開催に賛成する意見はほとんどなかった。10日に開く臨時の協賛会役員会で結果を報告し、開催の可否を決定する。
 市中心部の七夕飾りの3分の2に関わるという鳴海屋紙商事(若林区)の数井道憲社長は「全国各地から多くの人が集まるイベント。どんな形でも祭りができれば喜ばしいが、たとえ終息していたとしても、再び感染が広がればイメージダウンにつながる」と頭を悩ませる。
 同社は2月ごろから注文を受けて製作やデザインの打ち合わせを進めていた。東京五輪・パラリンピックの延期決定後は作業を休止し、新規発注もない。
 かまぼこ製造販売の鐘崎(若林区)は2014年から「未来の七夕プロジェクト」と銘打ち、青葉区の一番町店前に掲げる飾り作りに取り組む。昨年は発光ダイオード(LED)を取り入れ、商店街内の審査で金賞を受賞した。
 今年はデザイナー選定前の2月下旬、新型コロナの拡大を考慮して製作を休止した。嘉藤明美社長は「仙台の伝統を発信できる機会なので残念だが、人の健康を最優先させなければならない」と語る。
 市中心部の商店街振興組合の関係者も「コロナ禍は長期戦。アーケード内はいわゆる『3密』状態となるので、開催は現実的には厳しいだろう」と指摘。「どんな判断になっても、次回に向けた魅力的な施策に期待したい」と前を向く。
 ともに東北三大祭りに数えられる青森市の青森ねぶた祭の実行委は8日、開催中止を決定。秋田市の秋田竿燈まつりの動向を含め、開催判断は大きな影響を受ける。
 仙台商議所の今野薫専務理事は「東北の夏祭りは各県を回ってもらうことを想定して開催日が設定されている。自分のところだけ考えるわけにはいかない」と、厳しい状況に苦渋の表情を見せた。

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