仙台厚生病院・医学部新設の連携先 東北福祉大に決定

仙台市内の大学に医学部新設を目指す財団法人厚生会仙台厚生病院(仙台市青葉区)は15日、連携先を東北福祉大(同区)に決めたと発表した。病院と大学は3月上旬に理事会を開き、連携を正式決定する。国は約30年間凍結してきた医学部新設について、今夏にも認めるか否かの方向性を示す方針。凍結解除をにらみ、全国的に異例な病院主導による医学部開設構想が本格始動する。
 厚生会の目黒泰一郎理事長は宮城県庁で会見し、福祉大との連携に関して個別に意向を確認した結果、理事14人のうち、ほぼ全員から賛同を得たことを明らかにした。
 目黒理事長は、福祉大を選んだ理由に(1)民主党が医学部新設大学の条件とする看護系学部がある(2)指導の即戦力となる医師の教授が20人以上いる―などを挙げ、「東北福祉大に勝る選択肢はない」と述べた。
 福祉大が運営する病院「せんだんホスピタル」(144床)も好材料と判断した。目黒理事長は「仙台厚生病院の383床と合わせると、大学病院の目安の600床に近づく。(国の認可を受ける際の)大きなメリットになる」と語った。診療科や病床を補強するため、今後、連携可能な公立、民間の病院を募る。
 目黒理事長は「構想発表後、激励を数多くいただいた。国はいまの医療困窮の原因が、医師の偏在ではなく絶対数不足にあることを直視し、新設認可に動いてほしい」と訴えた。
 病院の決定について、東北福祉大の渡辺信英学長補佐は「選んでいただき、非常にありがたい。東北の医師不足解消という共通目標に向かって、本学も全力で取り組んでいきたい」と話した。
 病院と大学は、国が医学部新設を認めた場合に備え、3月にそれぞれ準備室を開設する。さらに6月をめどに、共同で外部有識者による諮問委員会も設置。教育方針や医師が東北に根付く仕組みづくりについて、地元経済界や患者代表らから意見を募る方針だ。

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