金融、不動産の専門家らでつくるアセットブレインズ仙台ネットワーク(仙台市)は、2022年の仙台圏の事業用不動産取引が105件あり、取引額(推計値)は総計1311億7700万円だったとの調査結果をまとめた。件数、取引額ともに12年の調査開始以来最多。不動産価格が高止まり傾向にある首都圏に代わり、地方が投資の選択肢となった可能性がある。
「地方物件に注目」
調査では、不動産登記など公開情報と独自の積算に基づき、おおむね3億円を超える仙台圏の事業用不動産を分析した。取引状況の推移はグラフの通り。
これまで取引額が最も多かったのは15年の1200億6000万円(70件)だった。22年実績は、21年の591億6500万円(61件)からほぼ倍増した。
買い手の属性で見ると、首都圏など東北以外の企業や投資家は708億3300万円(29件)と、取引額ベースで全体の約54%を占めた。県内に事業所がある企業・投資家の購入物件の総額は599億8400万円(75件)で、10億円未満の比較的小規模な不動産を扱うケースが多かった。
購入してから1年以内に売却する短期的な取引は22件、約275億2000万円で、全体の約2割を占めた。首都圏で一般的な転売目的の取引が仙台でも浸透しつつある。
分野別の内訳はビル16件約471億円、土地52件約395億円、商業施設9件約187億円など。地域別では青葉区が53件約681億円で最も多く、宮城野区22件約359億円、泉区9件約87億円と続いた。
佐々木正之事務局長は「投資意欲は依然として旺盛だが、東京の不動産は高騰が続き、投資先として地方の物件が注目されつつある。金融機関の柔軟な融資姿勢などを背景に、宮城でも転売市場が成立し始めた。この傾向は当面続くかもしれない」と分析した。