仙台圏で2022年に供給された新築マンション戸数が1410戸と前年を499戸上回り、リーマン・ショック翌年の09年以降で最多となったことが、広告代理店DGコミュニケーションズ仙台オフィスの調べで分かった。平均価格は前年比107万円上昇の4590万円と、過去2番目に高かった。
価格4590万円、過去2番目の高さ
用地取得費や建築費の高騰でマンション価格は高止まりしている。ただ、住宅ローン減税などの優遇措置や低金利を背景に、消費者の購買意欲は衰えておらず、積極的な供給につながっている。
仙台圏の供給状況はグラフの通り。東日本大震災に伴う需要の増加でマンション供給が本格化した16~19年は1200~1300戸前後で推移した。業者の供給計画が端境期にあった20、21年は落ち込んだが、需要を見越した22年は物件の販売が再び膨らんだ。
地域別の新規供給は、青葉区が前年比127戸増の679戸、太白区が184戸増の249戸、宮城野区が140戸増の209戸、若林区が13戸増の207戸、前年供給がなかった泉区が30戸、仙台市外が5戸増の36戸。大手事業者の販売開始が重なるなどした宮城野区と太白区は前年の3倍以上となった。
長らく上昇基調にあった平均価格は、3000万円台が多いコンパクトマンションの供給が相次いだ21年にいったん下がったものの、22年は仙台市地下鉄東西線やJR沿線に4000万円以上の家族向け物件の完成が相次ぎ、再び上向いた。
市場の購買意欲の目安となる成約率は22年、販売初月が66・9%、販売年の年末が80・6%で、いずれも高率だった。17~21年の過去5年も初月が60・4~67・7%、年末が76・3~81・9%と高い水準で推移しており、引き合いが強い状況が続いている。
DG社の吉野敦・仙台オフィス管掌(52)は「市中心部に集中していた供給エリアが分散化したことに加え、単身者向けなど商品構成も多様化し、さまざまな層の購買意欲を刺激している。需給がかみ合った状況は、当分続くのではないか」と分析する。