仙台圏の新築マンション平均4616万円 坪単価過去最高で専有面積の縮小傾向に拍車

2023年に仙台圏で供給された新築マンションの平均価格は、前年比26万8000円増の4616万5000円だったことが、広告代理店のDGコミュニケーションズ仙台オフィスの調査で分かった。建築費や地価の高止まりが続き、平均坪単価は9万円増の226万8000円と、1988年の調査開始以降の最高を更新。販売価格を抑えるため、専有面積の縮小傾向に拍車がかかっている。
(経済部・横山浩之)

建築費、地価高止まり

 石巻市などを含む仙台圏全体の供給戸数は、前年より17・0%少ない1170戸。2008年のリーマン・ショック以降で最多となった前年から一転、例年並みの水準に戻った。

 エリア別の供給状況は表の通り。若林区は前年の大量供給の反動で大きく減少し、青葉区も用地取得が進まず2割近く減った。

 1戸当たりの平均価格は2年連続の微増。仙台市内は宮城野、若林、太白の3区が増加した。若林区は供給戸数が少なく特定の物件の価格が影響し、平均が5000万円台となった。

 平均坪単価は資材や人件費の高騰、免震や環境配慮などの高品質化を反映して上昇。市内では泉区を除き、調査開始以降の最高値となった。供給戸数の約47%を占める青葉区が250万円台で全体をけん引。泉区は特定の物件の価格が影響し、前年を下回った。

 平均専有面積は1・94平方メートル減の67・7平方メートル。00年以降では21年(67・5平方メートル)に次いで2番目に小さくなった。1、2人世帯向けコンパクト物件の供給が増え、家族向け物件も面積の縮小が続き、4LDKの供給は85戸と調査開始後の最少を記録した。

 成約率は販売初月、23年末とも前年より伸びた。宮城野、太白、泉の3区の初月成約率はいずれも80%台。高価格帯の仙台市都心部を避けて、割安感のある郊外の物件を中心に成約が進んだとみられる。

 DG社の担当者は「仙台圏の供給は安定期に入りつつあるが、坪単価がさらに上昇すれば都心部での用地取得が鈍化し、準郊外エリアに供給がシフトするだろう」と予測。「大規模マンションの着工が予定される宮城野区、市がまちづくりに力を入れる定禅寺通(青葉区)周辺などの動向を注視したい」と話した。

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