仙台市は16日、若林区卸町の協同組合仙台卸商センターが所有するイベント倉庫「きよみず」(卸町2丁目)を改修し、能楽や神楽、演劇などの公演や練習に使う能舞台型文化交流拠点施設を整備すると発表した。市民が寄贈した能舞台を移築して芸術文化の振興とまちづくりの拠点として、来年7月に開館する。
市によると、青葉区小松島4丁目にあった能舞台を1月、個人所有者から譲り受けた。ひのき造りで大きさが4.5メートル四方と、正式の能舞台より一回り小さい。現在は入手が困難な木材が用いられ、鏡板には能楽師津村礼次郎氏の手による老松が描かれている。
「きよみず」は、鉄骨平屋で床面積約250平方メートル。市が借り受け、本舞台や楽屋、80~100人の客席を設ける。伝統芸能のほか、舞台施設を生かした現代演劇などに使ってもらう。
近くにあるせんだい演劇工房10―BOXの別館と位置付け、管理運営は市市民文化事業団が一体的に担う。施設整備費は5000万円。
奥山恵美子市長は「卸町は文化拠点施設が整備され、クリエーティブ産業の集積も進んでおり、伝統芸能が加わることで新しい文化の創造が期待できる」と述べた。
仙台市は藩制時代から能楽が盛んで、多数の流派が精力的に活動する。市は拠点施設の整備に加え、市民から要望のある能楽堂の建設についても検討を続ける。
約600人が加盟する市能楽振興協会の萩原邦明会長は「寄贈してくれた方の気持ちを大切にしながら、能楽の振興普及に施設を役立てたい」と話している。