仙台市、子育て施策拡充 12年度新規事業に7億円

 仙台市は、2011年度から子育て支援策の大幅な拡充に乗り出す方針を決めた。子どもの医療費助成対象の拡大と保育所待機児童の解消、児童館事業の強化を柱に、体制を整える12年度には新規事業だけで年間約7億円を充てる。奥山恵美子市長は子育て支援を重点施策に位置づけており、「新年度予算はここ数年の懸案事項の解決に向けた編成にする」(市幹部)という。
 医療費助成はこれまで通院、入院とも就学前まで無料としていたが、政令市の中で最低レベルにあった。拡充策では所得制限は残しながら、助成対象を通院は小学3年まで、入院は中学3年までに拡大し、一部自己負担を求める。
 通院の場合、初診時に500円を3歳以上の保護者から徴収。入院は小学生以上の保護者に1日当たり500円を負担してもらう。12年1月にスタートし、年間の事業費は約3億7000万円を見込んでいる。
 保育所待機児童対策は「幼保共存プロジェクト」と銘打ち、幼稚園のノウハウや園庭などの施設を生かして子どもの預かり枠を増やす。待機数が最も多い0~2歳児の専用認可保育所を園内か近所に開設してもらい、3歳を迎えた時点で、幼稚園に移行する仕組みをつくる。
 学校法人が経営する幼稚園も参入しやすくなるように独自の整備補助制度を創設。12年度初めに少なくとも1カ所のオープンを目指す。
 利用者を幼稚園へ誘導するため、時間外に子どもを預かる「幼稚園預かり保育」の補助制度も設け、認可保育所利用料との平準化を図る。複数の家庭保育福祉員(保育ママ)が共同で子どもを預かる新事業を始めるほか、認可保育所の整備も継続する。
 児童館事業強化では、仕事を持つ親の要望に応えるため、児童クラブの開設時間を延長できるよう関係機関と調整を進める。併せて児童館の増設にも取り組む方針だ。
 仙台市は「政府は13年度にも子ども・子育て新システムの導入を検討しているが、結論を待ってはいられない。現在ある人材や施設などを生かし、市民が安心して子育てできる環境を早期に整えたい」と説明した。

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