仙台市は本年度、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスのさらなる削減を目指し、家庭の脱炭素化を後押しする事業を拡充した。断熱性の高い住宅や非常用電源になる電気自動車(EV)を対象にした助成制度を創設。省エネ家電の買い替え促進策などの既存事業と合わせ、光熱費を節約できる利点もPRする。
市が実施する新規事業は表の通り。新築向けの補助金は断熱性や省エネ性能を高め、家庭で消費するエネルギーを実質ゼロとする要件などを満たす一戸建てに9200万円の予算を用意した。40件程度の申請を想定する。
改修では、住宅全体か、天井、床、壁のいずれかを高断熱に切り替える場合の補助金を新たに設けた。2016年度に始まった窓についても最大10万円の助成を継続する。計5000万円の事業費を充てる。
EVと家庭用電源をつなぐ電気変換器「V2H(ビークル・ツー・ホーム)」の導入に対する支援は30件以上の申請を見込む。予算額は600万円。
前年度からの継続事業も充実を図った。
省エネ性能の高い冷蔵庫やエアコンに買い替えると、抽選で秋保温泉(太白区)や作並温泉(青葉区)の旅館宿泊券などが当たるキャンペーンも事業費を前年度の200万円から330万円に増額。住宅への太陽光発電システム設置の初期費用が不要となる事業の予算は、前年度の14万円から34万円に増やした。
市が住宅向けの支援策に力を入れるのは、家庭からの温室効果ガス排出量が市全体の20%に達し、全国平均の13%を上回るためだ。国が30年度の削減目標を13年度比26%減から46%減と大幅に引き上げたことも背景にある。
市地球温暖化対策推進課の担当者は「省エネ住宅は光熱費が削減され、家計の経済的負担も減る。断熱性を高めると、冬の急激な室温低下も防ぐことができる」と相乗効果を強調する。