仙台市は新年度、コンピューターゲームの腕を競う「eスポーツ」体験会の定期開催や、選手選考も見据えた高齢者の健康づくりに乗り出す。筋力低下などで心身が弱る「フレイル(虚弱)」の予防と生きがいづくりにつなげる。ゲーム指導員の人件費、ソフト購入費など約841万円を新年度当初予算案に計上した。
「ねんりんピック」の選手選考も視野に
60歳以上の市民を対象に月1回、青葉区の台原老人福祉センターなど2カ所でeスポーツ体験会を開く。両会場をオンラインで結んだ対抗戦なども想定する。
2024年10月に鳥取県であるシニアスポーツの祭典「ねんりんピック」では、eスポーツが新種目に採用される見通し。市は体験会の参加者の中から選手を選ぶことも視野に入れる。
昨年4月、市はNTT東日本や東北福祉大などと協定を締結し、eスポーツが高齢者の健康づくりに与える効果を検証した。60歳以上の市民約20人を対象に2週に1度のペースで、約5カ月間取り組んでもらった結果、eスポーツをした後は握力や認知機能が向上する傾向が確認された。
検証に協力した市民からも「今後もゲームを続けたい」「孫と遊ぶ機会が増えた」と好評だったという。デジタル機器に対する苦手意識の軽減、生きがいづくりへの効果も期待する。
市高齢企画課の大関裕史課長は「ゲームによって高齢者同士の会話が増え、仲間づくりのきっかけになっている。デジタル技術に親しんでもらえるような取り組みにしたい」と話した。