仙台市は29日、市客引き行為禁止条例に基づく禁止区域を拡大する方針を明らかにした。対象はJR仙台駅西口近くの青葉区中央3丁目の一部(地図)で、今年1月ごろから客引きの姿が頻繁に目撃されていた。市は11月に正式決定し、周知を進めた上で来年1月に取り締まりを始める予定。完全施行された2019年4月以来、禁止区域の拡大は初めて。
[仙台市客引き行為禁止条例] 市中心部の特定区域内で業種を問わず、通行人に近づき客になるよう誘う「客引き」、役務に従事するようスカウトする「勧誘」などの行為を禁じる。違反行為をやめるよう勧告、命令しても従わなかったり、報告や立ち入り調査を拒否したりすると、5万円以下の過料を科し、氏名や法人名を公表する。
市は今年3月から、毎月第1金曜日の午後6時~翌午前0時に中央3丁目の一部で実態調査を実施。6~9月には1日で延べ52~68人を確認した。居酒屋の割合が高く、複数の時間帯で10人以上が立っていた。
既存の禁止区域と比べても、中央3丁目の一部の方が客引きが多いケースも。「店に入ろうとする客を奪われた」(付近の飲食店)、「しつこく付きまとわれた」(通りがかった市民)といった苦情が市に寄せられているという。
地元の仙台駅前商店街振興組合、仙台駅前南町通り親和会町内会、青葉通町会は今月17日、禁止区域の拡大を求める要望書を連名で提出した。
市の方針は29日に市役所であった市安全安心街づくり推進会議で示され、反対はなく、おおむね了承された。委員からは「禁止区域にすると、客引きが周辺の地域に広がるのではないか」「どんな基準で区域を拡大したのかを整理した方がよい」などの意見が出た。