仙台市と商議所の企業経営動向調査 事業拡大「予定なし」47.5% コロナ・物価高の影響色濃く

仙台市と仙台商工会議所は、今夏に実施した市内事業所の企業経営動向調査をまとめた。今後5年間の経営方針で「事業を拡大する予定はない」(47・5%)が半数近くに上り、「事業を拡大していく予定」(23・8%)の2倍に達した。規模が小さいほど事業拡大に消極的で、新型コロナウイルス禍で疲弊し、物価高の影響を受ける地域経済の状況を色濃く反映した。

小規模ほど消極的

 事業拡大に関する規模別の回答結果はグラフの通り。「予定はない」は大規模が3割を下回ったのに対し、中規模は4割を超え、小規模が6割に迫った。市は「小さい事業所ほど、足元の対応を優先せざるを得ないのではないか」(経済企画課)とみる。

 「拡大しない、できない理由」(複数回答)は「意向がない」(49・8%)を除くと、「経営者の高齢化」(26・5%)「人材不足」(22・7%)が上位を占めた。中小の事業所で選択するケースが目立った。

 「拡大していく」と答えた事業所に、具体的な内容を尋ねたところ、「国内の販路拡大」(64・4%)が最も多かった。次いで「既存分野の新たな商品・サービスの投入」(38・1%)「新分野への拡大」(29・4%)だった。

 「新たに実施・強化したい取り組み」は「社員の能力開発」(30・2%)が最多となったのをはじめ、「中途採用の強化」(27・9%)「労働環境の改善」(27・5%)など、人材不足を背景とした対応に力を入れる姿勢がうかがえた。

 取り組む際の課題を問う自由記述では「新入社員が足りない」(製造業)「若年層の離職率上昇」(運輸業)のほか、経験者や専門職を確保する難しさを訴える事業所もあった。

 調査は四半期ごとに実施。市内の事業所1000カ所に6月30日に調査票を郵送し、7月14日までに695カ所から回答を得た。新型コロナの影響を探る設問は5類移行で取りやめた。

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