仙台市で2017年、出生数が死亡数を96人下回り、戦後の混乱期を除いて初めて「自然減」に転じたことが市の人口動態統計で分かった。東北6県で人口減少が進む中、仙台市は東日本大震災からの復興などに伴う転入者が多く、人口が辛うじて増えている。唯一の100万都市が自然減の局面に突入したことで、東北全体の人口減少は加速するとみられる。
住民基本台帳によると、17年の出生数は8729人(前年比283人減)、死亡数は8825人(197人増)だった。
市の自然増減の推移はグラフの通り。年号が昭和になった1926年以降、市が自然減になったのは第2次世界大戦直後の45~46年だけ。この50年間の出生数は、第2次ベビーブーム(1971~74年)の73年をピークに、増減を繰り返しながら緩やかな減少基調にあった。一方、亡くなる人は増え続け、65歳以上の高齢者の割合は9割近くに上っている。
市政策企画課の松田智子課長は「第1次ベビーブーム(47~49年)に生まれた世代が70~80歳を迎えている。死亡が出生を上回る自然減の傾向は今後、より顕著に表れるだろう」と推測する。
市内各区をみると、自然増減は宮城野(408人増)、若林(79人増)、太白(132人減)、青葉(224人減)、泉(227人減)。泉区は高齢化が急速に進む郊外住宅地を抱えることが、自然減の背景にあるとみられる。
主に転入から転出の数を差し引いた17年の「社会増減」は、2124人のプラス。自然減の96人をカバーし、人口全体が2028人増えた。社会増は震災による避難者の流入や復興事業の従事者の増加で一時、1万人に迫る勢いだったが、復興の進展に伴い、年々減少している。
国勢調査に基づく17年の市推計人口は108万6377人。市は20年ごろをピークに人口減少局面に入ると予想する。加速する少子高齢化とともに、産業、福祉など幅広い分野に大きな影響を及ぼすのは必至だ。